自分の家を持つ価値とは何だろう。
自分の家を持つ価値とは何だろう。
これにはさまざまな考え方がある。賃貸が気楽だという人もいれば、
家は資産だから持つべきだという人もいる。
どちらが正しいという話ではない。
ただ、私には一つの持論がある。
もし30代で家を建てたとすれば、健康で自分らしく暮らせる80歳くらいまで、
およそ40〜50年という長い時間を、その家で過ごすことになる。
人生で最も活動的で、家族との思い出を積み重ねる大切な時間である。
その時間を、自分が心から好きだと思える空間で過ごせることには、大きな価値がある。
気兼ねなく釘を打ちお気に入りの絵を壁に飾る。
好きな音楽を少し大きな音で流す。
休日には、自慢のキッチンで料理をつくり、仲間を招いて食卓を囲む。
階下への音を気にすることなく、子どもたちと笑い合い、季節の移ろいを感じながら暮らす。
子供が巣立つと、そこがいつでも帰って来られるベースとなる。
犬や猫と一緒に庭で遊び、静かな夜には好きな椅子に腰掛けて本を読む。
そんな何気ない日常こそが、人生そのものではないだろうか。
もちろん、賃貸にも多くの魅力がある。
住み替えがしやすく、暮らし方に合わせて自由に選択できる。
それも一つの豊かな生き方である。
壁一枚、窓一つ、庭の木一本にまで、自分たちの意思が宿る。
暮らしそのものが、自分たちらしい形になっていく。
その積み重ねが、人生の豊かさを育てていくのだと思う。
さらに、家は住み続けるほど価値を深めることもできる。
手入れをし、修繕を重ね、良い素材を使った家は、年月とともに味わいを増していく。
無垢の床は艶を帯び、木や塗り壁は家族とともに歳を重ねる。
そうして大切に住み継がれた家は、単なる建物ではなく、
家族の歴史を刻む本物の資産となる。
だから私は思う。
これから求められるのは、建てた瞬間が一番美しい家ではない。
何十年という時間を経て、なお価値を増していく家である。
人生は一度きり。
その貴重な年月を、自分が本当に好きだと思える空間で過ごす。
それこそが、自分の家を持つ最大の価値ではないだろうか。

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