風呂に窓はいるか、いらないか
風呂に窓はいるか、いらないか
最近、窓のない浴室が増えてきた。
シンプルでモダンな外観をつくるため、壁面から余計な窓をなくしていく。コストを抑える意味もあるのだろう。換気設備が整い、湿気の排出を機械に任せられるようになったことも大きい。
窓がなければ掃除もしやすく、外からの視線を気にする必要もない。風呂に入るのは夜だけ、あるいはシャワーで済ませる。窓を開けたところで、見えるのは隣家の壁だけ。それなら窓などいらない、という考え方もよく分かる。
ただ、ひとつ忘れているものがある。
自然の光である。
浴室の窓は、風を通すためだけのものではない。景色を見るためだけのものでもない。外の光を、家の中へ招き入れるためのものでもある。
そう考えれば、窓は必ずしも開く必要はない。
換気は機械に任せ、光だけを取り込むFIX窓でも十分である。むしろ高い位置に設ければ、外からの視線を遮りながら、柔らかな光だけを浴室へ落とすことができる。透明ガラスでなくても良い。
暗がりの中に、わずかな光が差し込む。その光には、人をほっとさせる不思議な力がある。洞窟の奥から出口の光が見えたときのように、希望や、その先にある時間を感じさせてくれる。
休日、まだ日のあるうちに入る風呂は格別である。
旅館の風呂もそうだ。たとえ窓の外に大した景色がなくても、高い窓から静かに落ちてくる光だけで、いつもの湯が少し贅沢なものに変わる。
窓から降り注ぐ、あかりのシャワー。
風呂に窓をつけるか、つけないか。
あなたなら、どちらを選ぶだろう。
もちろん私は、あかりのシャワー派である。

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