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奥にある原因を探ることの大切さ

奥にある原因を探ることの大切さ

先日、家の者が風邪のような症状で病院を訪れた。その後、薬剤性肝障害を起こし、二週間入院することになった。処方について、医療の素人である私には何も分からない。ただ、目の前に現れた症状だけで、その奥にある原因まで見通すことは難しい。そのことを、あらためて考えさせられた。

家を建てようとする人は、いろいろな希望を口にする。広い居間がほしい。収納を増やしたい。大きな窓をつけたい。設計士は、それを一生懸命に書き留め、言われた通りの図面を描こうとする。真面目ゆえに、言われた通りに作ってしまう。けれど、それだけでは足りない。

医者は、患者が「頭が痛い」と言ったからといって、すぐに頭痛薬を出すわけではない。いつから、どこが、どのように痛むのかを聞き、その原因を探る。設計も同じである。

「広い居間がほしい」という言葉の奥には、家族と同じ場所で過ごしたいという願いがあるかもしれない。「収納を増やしたい」のではなく、使う場所としまう場所が離れていることが問題なのかもしれない。「大きな窓がほしい」のではなく、庭の木を眺めながら暮らしたいのかもしれない。

顧客が口にする要望は、答えではない。本当の暮らしを知るための入口である。

だから私たちは、すぐに「分かりました」とは言わない。なぜ、そうしたいのか。今の暮らしで、何に困っているのか。そこで誰と、どんな時間を過ごしたいのか。

問い詰めるのではなく、一緒に考える。

利点だけでなく、欠点も正直に伝える。そして、自分たちの理解と顧客の思いが一致しているかを確かめる。

話したことではなく、伝わったこと。
聞いたことではなく、理解したこと。
何が欲しいかではなく、なぜ欲しいのか。
どんな家にしたいかではなく、そこでどう暮らしたいのか。

言葉にならない思いにも、耳を澄ます。

対話から、私たちの設計は始まる。

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