BARは空間芸術である。
BARは空間芸術である。
BARは、友達の部屋に遊びに行くような場所である。
特にミュージックバーは、その人の趣味が満載の部屋でもある。まるで、音楽好きの友達の部屋に遊びに行くようなものだ。
こだわりのスピーカー、アンプをはじめとするオーディオシステム。こだわりの音楽、什器、インテリア。そこには、店主のこだわりが詰まっている。いわば、個人のリビングルームの延長線上のようなものである。
建築やインテリアを生業とする私にとって、バーは実に興味をそそられる空間である。若い頃からバーが好きだった。自分のセンスで、店という一つの空間をつくり上げていく。そのことに惹かれてきたのだと思う。
JBLは、70年代のロックやブルース、ジャズをガツンと聴かせる音。TANNOY(タンノイ)は、例えばロバート・グラスパー(Robert Glasper)などのクラブミュージックなど、空間全体を音で包み込む。この二つが、だいたいスピーカーの二大巨頭である。アルテックも忘れてはならない。
アンプの定番は、青く怪しげな光を放つMcIntoshのパワーアンプ。格調高くマランツ、ウエスタンとい強者という選択もある。
マスターの目利きで、レコードが掛けられていく。
酒のつまみは、音楽と、それにまつわる会話である。
さて、そこで私のおすすめバー六選。
これらは、私が昔から今でも通っている老舗の名店である。
東京・恵比寿の「トラックス」。クールでヒップ。
渋谷の「グランドファーザーズ」。オールドスタイル。レコードを片面掛けるのではなく、一曲ずつ掛ける。狙った溝に針を落とす姿は、まさに職人技である。
福岡・箱崎の「レノン」。五十年以上続く、ロックバーの老舗。七十五歳のマスターがお皿を回す。
北九州の「JAZZ STREET 52」。今も本物のジャズ屋の親父がいる店である。オーナーチェンジの店が多いなか、たしか御年八十三歳。今でもカウンターに立たれている。昔、福岡の天神に「コンボ」というジャズの名店があった。そこと双璧をなす店である。ジャズ屋の親父の鑑である。
福岡・大名の「オンザロックス」。スマートでセンシティブなミュージックバー。
中洲の「バー樋口」。本物のオーセンティックバーである。スコッチのボトルの数は半端ではない。生姜からつくる自家製モスコミュールがおすすめである。
番外編 「サイレンスバー」 こちらは香川の丸亀にある伝説のバー。港の隣にありモルトウイスキーが壁一面に置いてある。特筆すべきなのは港の倉庫をバーにしたというところである。もちろん老舗。酔っ払って海に落ちないように。
さて、ここからはBARでのマナーについて。
ここに挙げた店は、いずれも本物の店である。以下の点には注意していただきたい。
まず、潔くお金を使う。ちまちま飲まない。一杯で粘らない。
大人数で押しかけない。一人、もしくは二人くらいがベストである。
クラブではないので騒がない。若い人のなかには、バーとクラブの違いが分からない人もいるようだが、バーでは、はしゃいではいけない。
BARはアナログの世界である。スマートフォンは見ない。カウンターの上に鞄や帽子を置かない。静かに音楽や酒に集中する。これが最低限のマナーであろう。
初めての店でカウンターに座る場合は、マスターに「ここ、いいですか」と場所を尋ねる。いかにも特等席というところには座らない。常連客のお決まりの席があることも多いからだ。最初は、その店の様子をう。
裏技として、帰りの車などで酒が飲めない人は、トニックウォーターを頼めば格好はつく。ノンアルコールビールを頼むよりも、空間を壊さない。
居酒屋感覚で、考えもなしに「ハイボール」などと安易に注文しない。酒に詳しくない御仁は、物は言いようで「ウイスキーソーダ」と言えば格好はつく。
「ロンググラスで何かつくってください」と頼んでもよい。もしくは、シングルモルトやバーボンをロックで頼めばよい。
つまり、BARは店主のこだわりが詰まった空間芸術なのである。
その空間にリスペクトを払い、楽しむ。
ところで今、築百四十年の蔵を改装して、ミュージックバーをつくっているところである。
予約制のCAFE&BARである。(11AM~20PM)
ご興味のある方は、ぜひ遊びに来ていただきたい。
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詳しくは設計士まで
トニックウォーター (Tonic Water) とは、炭酸水に各種の香草類や柑橘類の果皮のエキス、及び糖分を加えて調製した清涼飲料である。

092-942-2745