窓まわりは、上げたときが重要。できるだけ薄く。
窓まわりは、上げたときが重要
窓まわりの装置を選ぶとき、たいていは下ろした姿を考える。
外から見えないようにする。朝日を遮る。西日を防ぐ。どれも大切だ。
でも、もうひとつ大切な姿がある。上げたとき。つまり、使っていないときだ。
これが、意外と見落とされがちである。
窓を開けて庭を眺めようとしたら、窓の上にブラインドがどっさり残っている。景色を楽しむつもりが、まずブラインドの存在感を確認することになる。
窓まわりの装置には、できれば「いましたっけ?」くらいの顔でいてほしい。
目立たせるべきものではない。
カーテンは、開口部がにぎやかになる
弊社では、一般的なカーテンはあまりおすすめしていない。
昔話ならばカーテンに花柄のレース。これが当時の女性の夢だったのかもしれない。
カーテンが悪いという話ではない。ただ、開けると両側に布がたまる。窓から景色を眺めたいのに、その両脇に布が待機している。少し、開口部がにぎやかになるのだ。
そこでおすすめしているのが、ロールスクリーン、ブラインド、障子である。
ロールスクリーンは、必要なときだけ降りてくる
ロールスクリーンは、必要なときにさっと下ろせる。
浴室や寝室のように、視線を遮りたい場所に向いている。寝室なら、光をしっかり遮る遮光タイプがおすすめだ。ガラス繊維が入ったプライバシーは守りつつ外の景色が見えるミラースクリーンなどもある。
操作方法にはチェーンタイプと紐タイプがある。毎日上げ下げするなら、私は紐タイプのほうが使いやすいと思う。必要なときに、さっと下ろせる。毎日のことなので、この「さっと」が案外ばかにできない。
人間は、手間が少し増えるだけで、だんだんやらなくなる。最初は毎晩きちんと下ろしていても、いつか「今日はまあいいか」となる。窓まわりの装置は、そういう人間の弱さまで見込んで選んだほうがいい。
ブラインドは、上げたときの厚みが重要。
ブラインドは、窓まわりをすっきり納めやすい装置だ。ただし、上げたときにどれくらいの厚みが残るかは、素材や仕組みによって大きく異なる。
メーカー名はあえて伏せるが、収納時の薄さを重視するなら、超薄型ハニカムのコード式が有力だ。2メートルの開口でも、たたみ込みは約7センチ。かなり薄い。
断熱性を補いながら、柔らかな光も取り入れたい。そんな窓には、よい選択肢だと思う。
横型の金属ブラインドは、羽根の角度を変えて、明るさや視線を調整できる。窓を開けるたびに全部を上げなくてもよいので、日中の光やプライバシーを調整したい場所に向いている。2メートルの開口なら、たたみ込みは約12センチ。
木製ブラインドは、木の質感が魅力だ。ただし、窓枠の中に取り付けると、上げたときに窓ガラスの上部を隠す量が大きくなる。2メートルの開口では、上に約25センチも残る計算になる。小住宅においては不向きなのかもしれない。
25センチというと、なかなかのものだ。景色を楽しもうと思ってブラインドを上げたのに、景色より先にブラインドが目に入る。木に見とれていたら、窓が隠れていた。少し切ない。
木製ブラインドを選ぶなら、窓枠の中に収めるだけでなく、窓上の壁や天井に取り付けて、窓枠の外へ逃がす方法も考えたい。
チェーンか、紐か
チェーンタイプは、クルクルと巻き上げに少々時間がかかり、歯車機構も大きくなりがちだ。そのため、日常的に何度も上げ下げする場所では、基本的に紐タイプがおすすめ。
ただし、高い位置にある窓では、チェーンタイプが便利だ。操作用の紐を長く垂らさずに済み、チェーンを回すだけで操作できる。
結局、どちらがよいかは、窓の高さと使い方次第だ。カタログを見ていると、どれも「快適な暮らし」を約束してくれる顔をしている。けれど、カタログの中の人は、朝起きて寝室のブラインドを上げたり、風の強い日に窓を開けたりはしてくれない。毎日どう使うかを考えて選ぶのが大切だ。
薄い羽根で光を調整したいなら、横型金属ブラインド。木の質感を楽しみたいなら、木製ブラインド。すっきりした一枚の面をつくりたいなら、ロールスクリーン。
景色を大切にしながら、収納時の薄さと柔らかな光も求めるなら、薄型ハニカムのコード式が候補になる。
私なら、スチール製の紐タイプ
ここからは個人的な好みだ。
私なら、白のスチール製の紐タイプのブラインドを選ぶ。
クールで、そっけない。けれど、その主張のなさがいい。窓まわりの装置は、あまり「私を見てください」と言わないくらいがちょうどいいと思っている。
理由のひとつは、折りたたんだときの薄さ。2メートルの開口でも、たたみ込みは約12センチ。最大の利点は、羽根の角度を調整して、光や風を取り入れながら、視線をほどよく遮れることだ。
強風時窓を開ければ羽がぶれて音がするが、そもそもその場合は窓を閉めれば良い。彩光と通風と視線カットを微妙にこれ一つでこなす。おまけに薄い。そこが気に入っている。
次点は、超薄型ハニカムブラインド。和紙のような柔らかな仕上がりで、私たちのつくる家には、こちらのほうが似合うかもしれない。ハニカム構造による断熱効果も期待できる。
ただし、横型ブラインドのように風を通したり、光や視線を細かく調整したりするのは難しい。どちらが優れているというより、得意な仕事が違うのだ。
木製ブラインドを選ぶなら、たたみ込みの厚みを忘れずに確認したい。木の質感は魅力的だが、上げたときに窓の上部が大きく隠れることがある。せっかく木の表情を楽しんでいたのに、いつの間にか窓の景色が減っていた。そんなことも起こりうる。
ちなみに、我が家は障子だ。
使わないときは窓まわりがすっきりしていて、夜など閉じたいときだけ、壁の中からスッと出てくる。必要なときだけ現れる。障子は、そういうところがいい。
素材は和紙一択である。子供がいる家にはワーロン紙というプラスチックで固めた破れにくい素材もあるがあれはいけない。年数が経つと変色し、うらびれた居酒屋風となる。我が家は昔から和紙であるが張り替えたのは10数年に一回程度である。そもそも昔は年末の障子の張り替えは風物詩であった。
この様に窓まわりの装置は、建築ができたあとに付けるものだ。でも、選び方や納まりで、部屋の印象はずいぶん大きく変わる。
下ろしたときにどう見えるかも大事だが。上げたときに何が残るか。窓の景色をどれくらい楽しめるか。
そこまで考えておくと、窓まわりは気持ちよく使える。せっかくの景色を眺める前に、まずブラインドと挨拶をするようなことも、少し減るはずだ。

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