古い、新しい
古い、新しい
「これは古い」「これは新しい」と、私たちはよく言う。
時代は、二十年ほどの周期で巡っているのではないだろうか。
たとえば、五十歳まで第一線で活躍していた人も、二十年たてば七十歳になる。周囲からは、ひと昔前の人に見られることもある。けれど、その人のもとで修業し、薫陶を受けた者が、受け継いだ考え方にその時代の空気や別の要素やテクノロジーを加え、もう一度世に送り出す。すると、かつてのものが新しいものとして受け止められる。
その人もまた二十年を経て七十歳になり、次の世代へと意思を託していく。百年後、二百年後の人から見れば、今あるものはすべて古いものだろう。けれど、古くなったものが、時を経てかえって新しく見えることがある。
建築の世界にも、そうした流れがある。生まれ年を挙げるとフランク・ロイド・ライト1867年からアントニン・レーモンド1888年へ、吉村順三1908年へ、そして奥村昭雄1928年へ。師弟関係や影響の連なりをたどると、まさに二十年刻みで、考え方が次の世代へ受け継がれているように見える。
ファッションの世界も同じだ。衣服の世界における大きな発明のひとつは、「流行」、つまりモードという考え方だったのではないか。モードがなければ、服を買い替える需要は今ほど生まれなかったかもしれない。ファッションのトレンドも、およそ二十年ごとに巡ってくると言われる。ここ二、三年はウエスタンスタイルが来ているとも聞く。流行はつくられ、意図的に流布されていく。洋服の世界では、それもひとつの商いのかたちなのだろう。
しかし、洋服と違って、住宅は簡単に着替えられない。
建てたときには最先端だったデザインも、流行を強くまとっていればいるほど、時代の移り変わりとともに古びて見える。Instagramが暮らしのなかに浸透した今、その変化はさらに速くなっている。
写真を見て「こんな家に住んでみたい」と心が動く。その気持ちは、家づくりの大切な出発点だと思う。ただ、その家で過ごす時間は、一枚の写真よりもずっと長い。
箱を組み合わせたようなキューブ型の家には、すっきりとした造形の魅力がある。ただ、私たちが家を考えるときには、その姿だけでなく、雨や日差しとの付き合い方、素材の変化、手入れをしながら住み続けることまで、大切にしたい。軒を出し、木造のよさを生かした家を目指すのも、そうした思いからだ。
住宅は、流行を追うためのものではない。80年代には洋風化住宅、90年代には円高を背景とした輸入住宅、2000年代には南欧風住宅、2010年代からはキューブ型住宅と、住宅のデザインは「トレンド」の名のもとに移り変わってきた。
私たちが目指したいのは、日本の風土のなかで受け継がれてきた知恵を、今の暮らしに合わせて生かしたスタンダードな家だ。流行の先端を走ることより、時がたっても自然にそこにあり続けること。住み継ぐほどに味わいが深まること。
家を、消耗品にしてはいけない。

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