福岡県注文住宅 | 株式会社長崎材木店一級建築士事務所 | 設計士と作る素敵な家 自由設計デザイン
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設計士の眼

Architect's eye

家は、間取りだけではつくれない。

設計士の目

家は、間取りだけではつくれない。

家づくりを始めると、いろいろな夢が膨らみます。

「明るいリビングがいいな」

「家族みんなで使える大きなキッチンが欲しい」

「洗濯が少しでも楽になるといいな」

「収納は、やっぱりたくさん欲しい」

「庭を眺めながら、ゆっくり過ごしたい」

家族で話しているうちに、やりたいことが一つ、また一つと増えていく。

それでいいと思います。

せっかくの家づくりですから、まずは思っていることを、できるだけたくさん聞かせてほしいのです。

私たち設計士は、そんなお話を聞きながら、少しずつ一緒に家の姿を探していきます。

家づくりでは、どうしても最初に「間取り」に目が向きます。

もちろん、間取りはとても大切です。

ただ、私たちが間取りを考えるときには、図面の線だけではなく、その少し先にあるものまで想像しています。

たとえば、

「ここに大きな窓が欲しいんです」

というご希望があったとします。

いいですね。

では、その窓から何が見えたら気持ちいいでしょう。

庭でしょうか。

空でしょうか。

遠くの山でしょうか。

それとも、庭で遊んでいる子どもの姿でしょうか。

朝は、どんな光が入ってくるだろう。

夏は、強い日差しが入りすぎないだろうか。

冬には、暖かな陽が入ってくれるだろうか。

風は気持ちよく抜けるだろうか。

外からの視線は気にならないだろうか。

そんなことを一つずつ考えていきます。

「大きな窓が欲しい」という一言の中にも、そのご家族らしい暮らしが隠れているからです。

だから私たちは、ご希望を聞いたとき、

「なぜ、それが欲しいのだろう」

と考えます。

否定するためではありません。

むしろ、そのご希望をもっと大切にするためです。

大きな窓が欲しい。

その奥には、

「明るいリビングで暮らしたい」

という気持ちがあるかもしれません。

「庭を眺めながらコーヒーを飲みたい」

のかもしれません。

「家の中にいても季節を感じたい」

ということかもしれません。

そこまで分かると、設計の答えは一つではなくなります。

窓を大きくすることもできます。

窓の位置を少し変えることもできます。

天井を少し工夫した方が、気持ちよく感じることもあります。

庭の木を一本、窓の先に植えることで、思っていた以上に素敵な場所になることもあります。

お客様の「こうしたい」と、設計士の「こうしたらもっと良くなるかもしれない」。

その二つを重ねながら、家を考えていく。

私たちは、そんな家づくりが好きです。

家は、みんなつながっています。

家を考えていると、不思議なことがあります。

窓をひとつ動かすと、光の入り方が変わります。

風の抜け方も変わります。

家具の置き方も変わります。

外から見た家の表情も変わります。

壁を少し動かせば、隣の部屋が変わり、柱や梁の位置が変わることもあります。

屋根の形を変えれば、家の姿だけではなく、夏の日差しや冬の光、雨のかかり方まで変わります。

一つひとつは別のことのように見えて、実は全部つながっています。

だから私は、ときどき家の設計を「ルービックキューブ」に例えます。

こちらを少し動かすと、あちらも動く。

そこで、また考える。

もう一度こちらを整える。

そんなことを何度も繰り返しながら、少しずつ一棟の家になっていきます。

間取りを考えながら、構造を見る。

構造を考えながら、窓を見る。

窓を考えながら、光と風を見る。

光と風を考えながら、軒や屋根を見る。

外から見た家の姿も考える。

そして最後には、もう一度、

「ここで、ご家族はどんなふうに暮らすのだろう」

というところへ戻ってきます。

私たちは、こうした考え方を分かりやすく、

「六面設計」

と呼んでいます。

何か特別な設計方法を、新しく始めたわけではありません。

これまで一棟一棟の家を考えてきた中で、自然と大切にしてきたことに、名前をつけたものです。

土地の声にも、少し耳を澄ませます。

家族が一組ずつ違うように、土地も一つひとつ違います。

朝日の入り方。

午後の日差し。

風の通り道。

道路からの見え方。

お隣の家との距離。

遠くに見える山。

そこに昔からある木。

空の広がり。

何も建っていない土地に立って、しばらく眺めていると、

「ここからの景色は残したいな」

「朝は、こちらから光を入れたいな」

「ここは少し閉じた方が落ち着きそうだな」

そんなことが少しずつ見えてきます。

だから、同じご家族から同じご希望をいただいたとしても、土地が変われば、できあがる家も変わります。

その土地にしかないものを見つけて、できるだけ上手に家の中へ取り込んであげたい。

それも設計士の仕事だと思っています。

一緒に、答えを探していく。

私たちは、お客様が持ってこられたご要望を、そのまま図面に並べることが設計だとは考えていません。

かといって、設計士の考えを押しつけることもしたくありません。

大切なのは、その間にあるのだと思います。

「こんな暮らしがしたい」

というお客様の想い。

「こうすれば、もっと心地よくなるかもしれない」

という設計士の経験。

そして、その土地が持っている光や風や景色。

それらを一緒に眺めながら、

「このご家族、この土地なら、どんな家がいいだろう」

と考えていく。

最初から答えが決まっているわけではありません。

話をして。

描いて。

考えて。

また話をする。

ときには、最初に考えていた間取りとは違うところに答えが見つかることもあります。

それも、家づくりの面白さなのだと思います。

いい家は、ゆっくり一つにつながっていく。

暮らしやすい間取り。

気持ちよく入る光。

通り抜ける風。

冬の暖かさ。

安心できる構造。

外から見たときの、落ち着いた佇まい。

そして、そこで過ごす家族の時間。

どれか一つだけではなく、それぞれが無理なくつながっている。

そんな家をつくりたいと思っています。

十年、二十年と時間が経って、

庭の木が大きくなり、

木の床に少しずつ艶が出て、

家族の暮らしも変わっていく。

その頃、その家がずっと昔からそこにあったように、土地の景色に馴染んでいたら素敵だなと思います。

設計士が図面を描いているとき、見ているのは線や寸法だけではありません。

その向こうにある光を見ています。

風を見ています。

景色を見ています。

そして何より、

まだそこにはない、ご家族の暮らしを想像しています。

家は、間取りだけではつくれません。

お客様と一緒に話し、考えながら、いろいろなものを少しずつつないでいく。

そうして、ようやく一棟の家になっていきます。

それが、私たちの考える「六面設計」です。

そして何年か経ったある日、

窓の向こうを眺めながら、

「この家にしてよかったね」

と家族で話していただけたなら。

私たちにとって、それ以上うれしいことはありません。

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