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設計士が語る】“カーテンがいらない窓”の設計とは

設計士が語る】“カーテンがいらない窓”の設計とは

── プライバシーとデザインを両立する、窓の設計思想と実例

こんにちは、設計士です。

「新しい家では、できるだけカーテンを減らしたい」
「そもそもカーテンがいらない設計ってできないの?」
そんな声を、最近の打ち合わせでよく耳にします。

たしかにカーテンは、視線を遮ったり遮光したりと、住宅において“なくてはならない存在”として扱われてきました。

しかし今、「カーテンが前提でない設計」が見直されています。
それは単なる“省略”ではなく、“建築としての窓のあり方”を問い直す設計行為
です。

今回は、「カーテンのいらない窓」をテーマに、その実現方法と注意点、具体事例まで詳しく解説していきます。


■ なぜ“カーテンがいらない窓”が求められているのか?

現代の暮らしでは、以下のような理由からカーテンレスの暮らしを望む人が増えています。

◉ 主な理由:

  • 布のひらひらが空間のノイズに感じる(特にミニマル志向の方)

  • 掃除やメンテナンスが面倒

  • 夜に閉める・朝に開けるという動作の煩わしさ

  • せっかくの美しい窓のデザインが隠れてしまう

  • 日中は閉めていても開けていても、なんとなく落ち着かない

それらを解決するのが、**“カーテン前提ではない窓の設計”**です。


■ カーテンがいらない窓の基本原則(3つのポイント)

① 外からの視線を「窓の配置・高さ」で避ける

👉 目線の高さからズラす、見下ろされない、通りから隠す

  • 高窓(ハイサイドライト)にする

  • 採光は天井際、視線は壁で遮る

  • 通りに面していても「45度」角度を振ると、視線が入りにくい

② 外構・植栽・壁を組み合わせて“視線のフィルター”を設ける

👉 外とつながる空間こそ、“外で遮る”発想へ

  • デッキや庭との間に高さ1.2~1.5mの木塀

  • 常緑樹・落葉樹を組み合わせて、季節ごとに透け方を調整

  • 隣家の窓と「ずらして配置」することで視線を抜ける

③ 採光・通風は確保しつつ、遮光は設計で調整する

👉 窓の「向き」「大きさ」「ガラス仕様」でカバーする

  • 東側:柔らかい朝日をハイサイドで取り込む

  • 南側:深い庇で直射をコントロール

  • 西側:そもそも“抜かない”か、細いスリット窓で対応

  • 北側:採光・通風の優等生。カーテン不要窓のベストポジション


■ カーテンレス窓の施工実例

【事例①】東南の角に設けたハイサイドライト

  • 天井際に横長の窓を設置(床から2000mm以上)

  • 外からは見えず、朝の光だけやさしく差し込む

  • カーテン不要で、寝室でも自然な目覚めを実現


【事例②】庭に面したリビングの掃き出し窓+木塀1.5m

  • 外構計画で視線をカット

  • 室内はあえてカーテンもブラインドもなし

  • 室内の動きが外から見えず、夜でも安心


【事例③】洗面室の縦スリット窓(横20cm × 縦180cm)

  • 明るさは十分、外からは“見えないが光は入る”設計

  • 水回りでも布を使わず、清潔感のある空間に


【事例④】吹き抜け上部のFIX窓から光を落とす

  • 通りや隣家の視線を完全に避けつつ、
    「天空から光が降りてくる」ような空間演出


■ 設計上の注意点

● 夜、家の中が丸見えにならないか?

LDKや寝室は“灯りがついた夜”の視線を最重要視します。
 外構+角度+ガラスの選定(乳白・型板など)で対策。

● 断熱・遮熱は大丈夫?

→ 高性能トリプルガラス/Low-E複層ガラスで十分対応可能。
 むしろ「布1枚より、ガラス選定の方が効果的」な場合も。

● 外構計画がないと成立しない?

→ はい。**「カーテンレス設計=外構を前提とした建築」**です。
 植栽・塀・ウッドフェンス・デッキなどとセットで計画します。


■ カーテンレスが向いている窓と、向いていない窓

向いている窓 理由
ハイサイドライト 視線に入らず、光と風だけを取り込める
掃き出し+外構で囲む 外構で視線を切れば、開放感とプライバシーを両立
FIX窓 視線も換気も必要ない場合は演出に最適
北側の採光窓 光は取り入れ、外の視線はほとんど気にしなくてOK
向いていない窓 対応策
通りに面した腰高窓 目隠しガラス+植栽 or そもそも窓をやめる
隣家と近接する窓 型ガラス+FIX or 掃き出しでなくスリットで調整

よくあるご質問(FAQ)

Q:カーテンなしで本当に外から見えませんか?
A:設計次第で十分可能です。視線の高さ・角度・外構・ガラスの選定を複合的に設計すれば、日中も夜間も快適に暮らせます。

Q:光がまぶしすぎたり暑くなったりしませんか?
A:南や西面は庇で直射をカット。高性能ガラスの遮熱性能を活用し、“設計段階で陽射しを操作”するのが鉄則です。

Q:寝室にカーテンがないと朝早く起きてしまいませんか?
A:それを逆に利用して、自然光で目覚める“光の目覚まし”設計が可能です。もちろん遮光したい場合は、必要最小限のロールスクリーンなどで補完できます。

Q:冬寒くありませんか?
A:**サッシの断熱性能・ガラスの性能がポイントです。**今の高性能住宅では、窓の性能をしっかり設計すれば問題ありません。

Q:来客時に丸見えにならないようにしたいのですが…
A:リビングなど人目が気になる場所には、レイアウト・家具配置・動線設計・外構計画を総合的に組み合わせて「抜け感」と「隠す」を両立させます。


まとめ|“カーテン前提”から自由になった家の設計へ

「窓=カーテンありき」という固定観念を一度手放すと、
光・風・景色・気配の取り込み方がまったく変わります。

  • カーテンがないことで、素材感と窓のデザインが際立つ

  • 光を遮らずに暮らすことで、朝夕のリズムが自然になる

  • プライバシーは「隠す」ではなく、「見えないように設計する」

“閉じるための布”をやめて、
“開いていても落ち着く窓”をつくる。

これが、カーテンレス設計の本質です。

私たち長崎材木店一級建築士事務所は、“より美しく、すみ継ぐ”という思想のもと、福岡で自然素材の注文住宅を、設計から施工まで一貫して手がけています。ただ家を建てるのではなく、暮らしをかたちにすることを何より大切にしています。「福岡で家を建てるなら、長崎材木店 一級建築士事務所」──そう言っていただけるように。

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