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我々が宮崎県産「飫肥杉」にこだわる理由。

我々が宮崎県産「飫肥杉」にこだわる理由。

いよいよ、鬱陶しい季節が近づいてきた。
梅雨である。

この時期になると、家づくりの世界では決まって出てくる話がある。
シロアリ問題。

名前に「アリ」とついているが、分類学的にはアリではなく、

ゴキブリに近いグループの社会性昆虫である。

湿気を好み、暗い場所を好み、気づいた時には静かに家を蝕んでいる。
あれは台風のように派手ではない。
だが、家にとっては実に厄介な存在である。

世の中の多くの住宅では、薬剤による防蟻処理が行われている。
ネオニコチノイド系だとか、合成ピレスロイド系だとか、難しい名前が並ぶが、要するに農薬である。

もちろん今は、昔のような強い薬剤は使えなくなった。
人体への影響もあり、濃度にも制限がある。

その代わり、防蟻効果には期限がある。

おおよそ五年。
だから住宅業界では、「保証を継続するためには五年ごとの再処理」が半ば当たり前になっている。

ただ、私は昔からそこに少し引っかかるものがあった。

家というのは、完成すると壁や床に覆われる。
断熱材が入り、構造材は見えなくなる。
新築時のように、地面から一メートルの範囲を隅々まで再処理することなど、現実にはなかなか難しい。

つまり、“本当に守りたい場所”ほど、後からは十分な防蟻施工ができなくなる。

さらに今の家は、高気密化が進んでいる。
空気は、昔ほど抜けない。

そんな空間に、強い薬剤を繰り返し入れ続けることに、私はどうしても違和感を覚えてしまう。

小さな子どもがいる家。
犬や猫と暮らす家。
毎日、深呼吸をする場所。

家とは、ただ雨風を防ぐだけの箱ではない。
人が長い時間を生きる場所である。

だから私たちは、薬剤だけに頼るのではなく、材木屋として“木そのものの力”を信じたいと思っている。

長崎材木店一級建築士事務所では、

一階の外周部に熊本県産の球磨檜、その他の主要部分に宮崎県産の飫肥杉を使用している。
もちろん、すべて芯持ち材である。

どちらも、昔から日本の気候風土の中で使われ続けてきた木で。

特に飫肥杉は油分が強い。
その油が、虫や腐朽に対して高い耐久性を持つ。
球磨檜も同様である。

派手な宣伝はない。
だが、古い寺や古民家を見ればわかる。

本当に強いものは、昔から静かに使われ続けている。

ちなみに、外部デッキには屋久島地杉を使っている。
雨に打たれ、湿気にさらされる場所だからこそ、素材そのものの強さが必要になる。

私は思う。

家づくりというのは、結局“時間軸に耐え得るか”が重要である。

体に安全な薬か。
便利な工法か。
それとも、長い年月の中で試されてきた素材か。

もちろん、木材だけで家が守れるほど簡単ではない。

シロアリは、ほんの小さな隙間からでも入ってくる。
だからこそ大切なのは、設計であり、施工であり、現場の精度だ。

湿気をためない。
水を逃がす。
風を通す。
弱点をつくらない。

そんな地味な積み重ねが、結局、家の寿命を決めていく。

今の時代は、“すぐに効果が見えるもの”ばかりが好まれる。
だが、本当に大事なものほど、結果が出るまで時間がかかる。

家も同じだ。

十年後。
二十年後。
三十年後。

その時に、ようやく答えが出る。

家は、建てて終わるものではない。
人が生き、歳を重ね、暮らしが染み込んでいく場所だからだ。


PS※参考までに。
シロアリという観点から見ると、集成材の柱については慎重に考えた方がいいと私は思っている。
特にSPF材は、耐蟻性という意味では決して強い木ではない。

もちろん、コストや流通量、施工性という面では優れた材料だ。
だが、家づくりは「今だけ」ではなく、「数十年後」を見据える仕事である。

だからこそ私たちは、できるだけ日本の気候に合い、時間に耐えてきた木を選びたいと思っている。

また、最近では家の周りに薬剤を仕掛けるベイト工法やホウ酸施工などもある。

コストの問題はあるがこちらも体に優しい防蟻工事方法である。

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