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きみは石器時代に戻れるか。

石油に依存した家づくりの終わりに

2026年――
ホルムズ海峡の不安定化に端を発したナフサショックは、あらゆる産業に影を落とした。

住宅業界も例外ではない。
いや、むしろ最も影響を受ける業界の一つと言っていい。

家は、何万点という部材の集合体である。
キッチン、トイレ、ユニットバスといった住宅設備。
断熱材、塗料、接着剤、ビニールクロス、新建材。

その多くが石油由来であり、ひとつでも止まれば、家は建たない。

現在、世間業界では声高に叫ばれているが、

私は、特段この事象について論じる気はない。

今回の混乱は、単なる資材不足ではない。
「現代の家づくりが、どれほど石油に依存しているか」を、露骨に突きつけた出来事である。


戦後の高度経済成長期。
住宅不足を背景に、大量生産・大量供給の時代が始まった。

その主役となったのが、プラスチックを中心とする石油工業製品だった。

早い。
綺麗。
そして安い。

まるで魔法のような素材だった。

昭和50年代頃から、これらは「新建材」と呼ばれ、

ハウスメーカーの隆盛と共に住宅業界に一気に広がっていく。
誰もが疑わなかった。
むしろ、それが“進化”だと信じていた。

だが、1990年代後半に入ると、別の問題が浮かび上がる。

気密化された住宅の中で、化学物質が滞留し、
いわゆるシックハウス問題が顕在化した。

結果として、24時間換気が義務化される。

本来、自然に呼吸していた家が、
機械によって空気を入れ替えなければ成立しない構造へと変わった瞬間だった。


その後、2000年代初頭、自然素材への回帰が一時的に起こる。
しかし流れは変わらなかった。

化学物質の“放散速度を遅らせた建材”が開発され、
問題は“解決されたこと”になった。

だが、本質は変わっていない。

現代の住宅の大半は、依然として石油製品の上に成り立っている。


今回のナフサショックは、それを隠しようのない形で露呈させた。

安価に、大量に、均一に。
そのために最適化された家づくりは、
前提が崩れた瞬間、脆さを露わにする。

ある意味で当然の帰結だろう。

効率を極めたシステムは、外部条件の変化に弱い。


ある国の指導者が言った。
「石器時代にしてやる」と。

誇張された言葉ではある。
だが、今回の状況は、その言葉をどこか現実味のあるものとして思い出させる。

私たちは、便利さと引き換えに、
自分たちの足で立つ力を、少しずつ手放してきたのかもしれない。


だからといって、石器時代に戻る必要はない。

だが、問い直すべき時に来ている。

本来の家とは何か。
素材とは何か。
時間に耐えるとはどういうことか。

新建材が席巻する以前――
昭和初期の家づくりには、ひとつの答えがあった。

自然でできた素材を使い、
風を通し、
手仕事でつくる。

効率は悪い。
だが、壊れにくく、直せて、長く使える。

そして何より、
外部環境に対して、しなやかに耐える力を持っていた。


今回の出来事は、単なる危機ではない。

選び直す機会だ。

何を使い、
どうつくり、
何を残すのか。

効率の先にあるものではなく、
「時間に耐えるもの」を選ぶという視点。

それが、これからの家づくりに必要な軸だと、私は思う。


家は、ただ建てるものではない。
前提が崩れても、なお残るものを、つくるべきなのだ。

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