――より美しく住み継ぐ。
――より美しく住み継ぐ。
この言葉には、私たちの家づくりの思想がすべて詰まっている。
根底には、エイジングと侘び寂びという思想が静かに流れている。
私達の作る家は、完成した時が頂点ではない。
むしろ、そこから美しさの旅が始まる。
時間が経つほどに素材は落ち着き、
表情は深まり、空気はやわらいでいく。
暮らしと手入れが折り重なりながら、
美しさは静かに育っていく。
褪せていく色。浮き出る木目。
雨風に耐えながらも、凛として立つ姿。
それらは劣化の痕跡ではない。
「経年美」
2008年に建てたモデルハウスがある。
気づけば、もうすぐ20年。
最近ふと、こんな言葉が心に浮かんだ。
――ようやく、風格が出てきた。凄みさえある。
建てた瞬間の「完成」ではなく、
暮らしと時間が溶け合ったとき、
はじめて家は深みを帯びる。
家は消耗品ではない。
減価償却されるべきものでもない。
住むほどに美しさが積み重なり、
時間とともに風格が育っていくものだ。
だからこそ、私たちはこの言葉を掲げ続ける。
――より美しく住み継ぐ。
それは願いではなく、宣言である。

092-942-2745