別注仕様のオリジナルバス
築二十年。我が家の風呂を替えた。
壊れたわけではない。
ただ、床の汚れがどうしても取れなくなった。
ゴシゴシ擦る。きれいになるどころか、今度は表面が削れて下地が出てくる。
掃除するほど、みすぼらしくなる。
ああ、これはもう替え時かな、と。
毎日使う場所だからだろうか。ちょっとしたくたびれが、妙に気になる。
風呂くらい、気持ちよく入りたい。給湯器の不調も相まって、交換を決めた。
さて、どこのメーカーにするか。
今回の経験から、床だけは決めていた。タイルにする。
樹脂の床は最初こそきれいだが、どうしても劣化する。
長く使うと、くすんで、傷んで、最後は“古びる”というより“傷む”。
あれがどうも好きじゃない。やっぱり本物のタイル素材がいい。
そうなると自然と答えは出る。
本物のタイルを使っているメーカーは、実質 タカラスタンダード 一択だった。
手前味噌かもしれないがうちのモデルハウスでも採用している、
長崎材木店一級建築士事務所、オリジナルのユニットバス。
何百万もするジェットバス付きのユニットバスなんかではない。
質実剛健 良心的価格
一般のカタログには出ていない、ちょっとした別注仕様である。
このバス、正直に言うと派手さはない。
今流行りのホテルライクでもないし、ショールームで「わあ、素敵」と言われるタイプでもない。
実にシンプルだ。床はタイル。排水溝はステンレス。おまけに壁はホーロー。
この「ホーロー」という言葉、
若い人にはあまり馴染みがないかもしれない。『琺瑯』と書いて、ホーロー。
台所にある、あの重たい鍋。ル・クルーゼやストウブの鍋と同じ素材だ。
鉄にガラスの釉薬を焼き付けたもの。
だから、固くて、傷に強く、薬品にも強い。熱にも強くて、汚れがさっと落ちる。
表面がつるっとしているから、水拭きするだけで大体きれいになる。「とにかく手入れが楽」。
さらには磁石がくっつくので棚も好きな場所に付けられる。
まさに、道具の優等生みたいな素材だ。
合理的で、無駄がない。なんというか、“道具感”がある。
使っていて安心する。長く付き合えそうな顔をしている。
もちろん、欠点もある。タイルなので最初の一歩だけ冬場は「ひやっ」とする。
でもまあ、それくらいは仕方ない。二十年後も劣化しない床と引き換えなら、トレードオフに値する。
その辺の樹脂タイルに妥協しなかったところはタカラスタンダードは潔い。
話は変わるが、昨年の秋からちょっとした習慣ができた。朝の冷水シャワーだ。
これがなかなか気持ちいい。
湯船で温まった体に、冷水を浴びる。
最初は気合がいるので、別注で手元スイッチ式シャワーヘッドに替えた。
微粒子タイプで肌にも優しい。「よし」と覚悟を決めてスイッチを押す。
最初のうちはひゃっと声が出るが、
服を着るころには体の奥からじわっと熱が戻ってくる。
血が巡る感じがして、頭がすっきりする。妙に満たされた気分になる。
最近はこれが一日のスタートだ。
というわけで、オリジナル仕様のユニットバスにも我が家と同じ仕様にマイナーチェンジ。
自分がいいと思ったものはすぐに会社の仕様に反映させるのが主義である。
特別豪華なわけでもなく、映えるわけでもない。でも、丈夫で、掃除が楽で、長く使える。
こういうのが、結局いちばんいい。
風呂は毎日の道具だ。気取らず、気持ちよく、長く使えること。
それで十分だと思っている。
そして冷水シャワー。これは本気でおすすめである。
朝の目覚めや爽快感が、大きく変わる。
だまされたと思って、ぜひ一度。

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