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ビッグピンクの寓話

ビッグピンクの寓話

ある日、小さな街にそれは現れた。
広大な敷地の真ん中に、巨大なピンク色の建物が、何の前触れもなく忽然と姿をあらわした。

窓はない。
申し訳程度の緑と、どこまでも続く駐車場。

その異様な姿に、人々は戸惑いながらも、やがてこう言った。
「これでこの街も便利になる」と。

街の人々は手を挙げて喜んだ。
まるで、自分たちの街が選ばれたかのように。

その建物の中は、いつも同じだった。
雨の日も、酷暑の日も、凍える冬の日も、
中の空気は一定に保たれている。

床は大理石のようで、大理石ではない。
壁もまた、本物ではない。
木に見えるものも、木ではない。

すべてが「そう見えるように作られたもの」だった。

週末になると、人々は車に乗り、家族を連れてそこへ向かう。
子どもを引き連れ、同じような動線をたどり、同じように買い物をする。

並んでいるのは、大量に生産され、均一に整えられた商品たち。
流通に乗せやすく、賞味期限は明快で、品質はどこでも同じ。

全国どこでも見かけるナショナルブランド。
どこへ行っても、同じものが並び、同じように消費されていく。

やがて、街の商店は静かになっていった。
顔を知っている店主はいなくなり、
会話も、やりとりも、少しずつ消えていった。

地域の特性は失われ、街は均されていく。

車を持たない老人は、そこへ行くことができない。
取り残され、やがて生活の弱い側に追いやられる。

街は、金太郎飴のように切り揃えられていく。
どの街も、どの地域も、同じ景観、同じ店、同じ空気。

そして、人間までもが似ていく。
同じ場所へ行き、同じものを選び、同じように生きる。

子どもたちは、そこで育つ。
本物の木の手触りも、土の匂いも、
時間をかけて変化していく素材の美しさも知らないままに。

触れるのは、均一で、管理されたものばかり。
違いのない世界の中で、違いを感じる感覚そのものが、少しずつ失われていく。

やがて、街は「街」であることをやめる。
ただの「機能」になる。

ビッグピンクは、便利さの象徴であり、
同時に、すべてを均していく装置でもある。

そして静かに広がっていく。

ビッグピンクの帝国。
ビッグピンクの植民地。

これが、ビッグピンクの話である。


けれど。

すべてが失われたわけではない。

路地の奥には、まだ灯りが残っている。
誰かが自分の目で選び、自分の手でつくるもの。
効率ではなく、手間を引き受ける仕事。

本物の品は、まだある。
触れれば、温度がある。
時間とともに、表情を変える。

そういうものを、手渡すことができる商人や職人がいる限り、
この街は、まだ完全には終わらない。

選ぶのは、いつも人間だ。

どこへ向かうかも、何を残すかも。
まだ、こちら側に残されている。

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