福岡県注文住宅 | 株式会社長崎材木店一級建築士事務所 | 設計士と作る素敵な家 自由設計デザイン
「福岡注文住宅」

TEL092-942-2745

営業時間 9:00〜18:00 (水・木曜定休)

創業者の想い

CAPTAIN'S TWEET

トレンド

最近はSNSばやりである。もちろん我々も情報を発信している。

まるで洋服のようにインスタで展開されている。

洋服ファッションのトレンドは、構造がはっきりしている。
「みんなと違うから格好いい」が拡散し、真似され、浸透し、
やがて“違い”が薄れて価値が落ちる。
すると次が生まれ、また拡散する。

だが家は、着替えられない。

だからトレンドに流されてはいけない。

トレンドとは、偶然でも感性でもない。
**差別化を次の場所へ移動させ、新しい消費を生み出すための“潮流”**だ。


トレンドが生まれる場所と、その目的

家具・インテリアの世界で言えば、ミラノサローネ。
ファッションの世界で言えば、パリ・ファッションウィーク、ミラノ・ファッションウィークやピッティ・ウオモ(Pitti Uomo)。

そこからトレンドが発信される構図は、極めてシンプルだ。
目的は、新しい消費を起こすこと。

「今年はこれが新しい」
「次はこれが来る」
そうやって“更新”を促し、
人の意識と財布を次の地点へ動かしていく。

それは悪いことではない。
産業として、極めて健全な仕組みでもある。

だが、この仕組みには大前提がある。
それは、「買い替えられるもの」であること。

家には適用してはいけない


洋服はいい。だが、家は違う。

洋服はいい。なぜなら、着替えられるからだ。
気分が変われば買い替えられる。
失敗しても、次の季節にやり直せる。

だが、家は違う。
家は、着替えられない。

今日の気分で選んだ外観を、
来年の気分で簡単に替えることはできない。

一度“選んだもの”を、暮らしは何十年も引き受ける。
雨、陽射し、傷、汚れ。軒のない家は将来どうなるのだろう。

家族の癖、生活の変化、流行の移ろい。

そのすべてを、黙って受け止め続ける器が、家だ。


SNSが家づくりを“洋服化”している

最近はインスタなどのSNSが発達し、
家づくりの世界にも、洋服と同じ現象が見え始めている。
これは、とても危険なことだ。

ぱっと見で、シンプルでわかり易く映える形。例えば先述の軒ゼロのキューブ型住宅
回遊プラン、ファミクロといった 説明しやすい記号。
「今っぽい」と言われるための表情。

流行が流行を呼び、
次々と上書きされていく。

だが家は、投稿ではなく生活だ。
“画面の一秒”のために選んだものは、
“暮らしという時間の中では、破綻する。

トレンドは、拡散した瞬間に“普通”になる。
普通になった瞬間に、魅力は薄れる。


ところが家は、“薄れた後”も、そこに残り続ける。

家づくりにおいて、流行の扱いを間違えると、傷は深い。


住宅トレンドの現在地

住宅の世界で言えば、
いまの大きな潮流は「モダン」だろう。

線をできる限り消し、装飾を削ぎ落とす。
軒ゼロのキューブ型の外観、枠なしのすっきりした室内ハイドア、
窓まわりの枠のノイズを消した納まり。

窓さえもなくしていき壁を際立たせていく。
とにかくシンプルに、何も語らない顔をつくる。

もちろん、この流れ自体が悪いわけではない。
問題は、それが文脈を失ったまま大量にコピーされていくことにある。

これまでも住宅には、いくつもの流行があった。
輸入住宅、高気密高断熱、自然素材健康住宅、建築家住宅。
ナチュラルモダン、シンプルモダン、北欧スタイル。

その時代ごとに「それっぽい型」が生まれ、
広まり、やがて飽和してきた。

そして今、SNSの発達によって、
思想や背景ではなく、
“うわばみの型”だけが切り取られ、真似されていく。

線の消し方、色のトーン、写真映えする角度。
残るのは、「なぜそうなったか」を失った“型”だけだ。


トレンドを“押さえない”のは危ない。だが“従う”のはもっと危ない。

整理して言う。

トレンドをまったく押さえていない家は、
最初から古臭く見える。

トレンドに従った家は、
驚くほど早く古くなる。

この矛盾をほどく鍵は、
トレンドを「表層」と「深層」に分けて考えることだ。

表層のトレンド
形、柄、装飾、色、流行りの“見た目の記号”。
寿命は短く、家に入れると致命傷になる。

深層のトレンド
暮らしの変化。
日射遮蔽、温熱環境、音、余白、働き方、家族の距離感。
こちらは寿命が長く、家に入れる価値がある。

家づくりは、こう考えるのが筋だ。
見た目だけの型の流行は追わない。
暮らしの進化は取り入れる。


「今っぽさ」は、最後に“薄く”入れる

家に必要なのは、
トレンドど真ん中の主張ではない。

必要なのは、
古びない骨格と、いまの暮らしに合う機能だ。

順番は、明確だ。

  • 時間に耐える骨格
    (寸法、窓、素材、納まり、メンテナンス性)

  • 暮らしの進化
    (温熱、日射、収納、生活動線、可変性)

  • 今っぽさは「香り程度」に
    (家具インテリア・小物・植栽など、交換できる部分)

替えられるところで遊ぶ。
替えられないところは、絶対に遊ばない。
これが、家づくりの責任だ。


結論:家は「流行の消費」ではなく「時間の味方」

トレンドは、悪ではない。
ただしそれは、消費を前提とした仕組みだ。

家は、消費されるものではない。
暮らしの背景になり、
人生を支え続ける場所だ。

人生は、10年で終わらない。
だから家も、10年で薄っぺらくなってはいけない。

トレンドに流されないというのは、
反骨でも、意地でもない。
「着替えられないもの」に、
責任を取るというだけの話だ。

代表のつぶやき 一覧へ