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創業者の想い

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なんで古い車なんですか?

――結局のところ、あの質問は「車の種類」じゃなくて、
生き方をどう決めるかという問いだったのだと思う。

「なんで古い車なんですか?
今の車のほうが安全で、燃費も良くて、壊れにくいのに。」

そう聞かれるたびに、スペックで答えられる若者と、胸の奥で首を横に振る自分が対峙する。

排気量、燃費、馬力、安全装備、静粛性、維持費。
コストパフォーマンス。並べようと思えばいくらでも並べられる。

だが――結論、スペックやコストの話ではない。

「どう生きたいか」の話だと思う。

手作りの料理でなくてもカップ麺でも腹は満たせる。
一眼レフでなくてもスマホで写真は撮れる。
音楽もスマホのスピーカーで聞くことはできる。

便利さだけで比べるなら、現代の物に軍配があがる。

でも、人はときどき理性を裏切る。
“こだわり”を選ぶ。美しさを選ぶ。豊かさを選ぶ。心が震えるものを選ぶ。

アクセルを踏んだとき、少しもたつくその反応が愛おしい。

ドアを閉めたときの、あの重い音。
キーを回したとき、エンジンが目覚めるまでの数秒の緊張。
冬の朝、一発でかかっただけでフッと安らぐあの感情。

便利や合理では説明できない世界が、そこにはある。

「壊れるから嫌だ」と言う人がいる。正しい。間違ってはいない。

だが私はこう思う。「壊れたら直せばいい。その“手をかけた時間”こそがその一台を特別にする。」
新しい車は完成されている。古い車は、完成させていくものだ。

時間とともにシートに刻まれる皺。
塗装のくすみ。少し錆びたバンパー。交換した部品の記録。
そして、積み重なっていく思い出。それらは“劣化”ではなく、履歴書。

便利を否定する気はない。最新の車には、最新の価値がある。

ただ――

こだわる人には、便利だけでは辿り着けない世界がある。
その世界とは、深く広く豊かな感性の世界である。

古い車にとって最大の褒め言葉は、こうだ。
「そこに停めていると、風景が完成する。」

山道でも、港町でも、夕暮れの道端でも。
ただ停めているだけで、景色と車が溶け合って、一枚の絵になる。
それは最新車では狙っても得られない、感性の領域。

あの重さ、癖、匂い、手触り、音。そして――手間のすべてを受け入れた先に、
効率でも、合理でも、便利でもなく。“車のある情景を愛でたい”から。
私は風景となる車を選んだ。

これは――どう生きたいかを選ぶ話かもしれない。

それが、私の答え。

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