新築住宅を建てる際、多くの工務店やハウスメーカーはエアコンの選定を施主に委ねることが一般的です。そのため、量販店でエアコンを購入するケースが多く見られます。しかし、新築の注文住宅において、アパートや中古住宅のように後からエアコンを取り付けるのは、やや残念な選択とも言えます。車でさえエアコンが標準装備されているのに、新築住宅で後付けするのは非効率に感じる方も多いでしょう。
量販店は豊富な品揃えと安価な価格が魅力ですが、エアコンの選定には注意が必要です。量販店の販売員は、家の間取りや部屋の広さを確認するものの、建物の断熱性能や省エネ性について詳しく尋ねることはほとんどありません。そのため、一般的な「畳数基準」に基づいてエアコンを推奨されることになります。
実は、この畳数基準は昭和64年(1989年)頃に制定されたもので、現在の新築住宅の断熱性能とは大きく異なります。昔の基準に合わせたエアコンを選ぶと、新築住宅には必要以上に高性能な機種を勧められるケースが多くなります。量販店の販売マニュアルでは、クレームを避けるため、余裕を持った性能のエアコンを勧める傾向があるためです。
過剰な能力のエアコンを購入すると、以下のような問題が発生します。
初期費用の増加
能力の高いエアコンは当然ながら価格が高くなります。本来よりも大きなモデルを購入することで、余計な出費がかさむ可能性があります。
電気代の増加
必要以上に高出力のエアコンは、短時間で冷暖房を完了させるため頻繁にオン・オフを繰り返し、消費電力が増えることがあります。適正なサイズを選ぶことで、より効率的な運転が可能になります。
将来的な買い替えコストの増加
一度過剰なエアコンを選んでしまうと、その後の買い替え時にも同じサイズのものを選ぶ傾向が生まれます。その結果、長期的に見ると不必要なコストがかかり続けることになります。
新築住宅におけるエアコン選びは、設計段階から計画的に進めることが理想的です。設計士に依頼し、冷房負荷・暖房負荷の数値計算を行った上で適切なエアコンを選定することが重要です。特に、高気密・高断熱住宅では、従来の基準とは異なるエアコンの選び方が求められます。
適切なエアコンを選ぶことで、無駄な出費を抑え、快適な室内環境を維持しながらランニングコストの削減につながります。また、新築時にエアコンの配管や設置工事を建築と一緒に行うことで、後付けと比べて美観上の問題や工事による筋交の欠損や断熱機密性能低下のリスクも無くなります。。
エアコンは一般的に10〜13年ごとに交換されるため、一生のうちに2〜3回は購入することになります。そのため、目先の価格だけでなく、長期的なコストや省エネ性能を考慮した選択が重要です。
新築住宅のエアコン選びは、量販店の販売員に任せるのではなく、設計士などの専門家と相談しながら適切なものを選ぶことが重要です。過剰な性能のエアコンを選んでしまうと、初期費用だけでなく、ランニングコストや将来の買い替えコストにも影響を与えます。せっかくの注文住宅だからこそ、エアコンの選び方にもこだわり、快適で経済的な住環境を実現しましょう。
・新築住宅は断熱性能が高いため、従来の「畳数基準」では適切なエアコン選びが難しい
・エアコンは一度設置すると10年以上使うため、選定の誤りが長期的なコストや快適性に影響する
・建築時に配管や設置を済ませることで、美観や性能を損なわずに済む
・断熱性能や気密性など住宅の性能を考慮せず、古い「畳数基準」に基づいた提案が多い
・クレームを避けるため、必要以上に高性能な機種を勧められる傾向がある
・結果として、過剰スペックの機種を選びやすくなる
・初期費用が高くなる
・電気代が増える可能性がある(頻繁なオン・オフ運転により)
・買い替え時にも無駄に大きな機種を選ぶ傾向が生まれ、長期的なコストが増える
・建物の設計段階で、冷暖房負荷の計算をもとに選定するのが理想
・設計士や専門家と相談しながら、家の性能に合った機種を選ぶべき
・建築工事と同時に配管や設置を行えば、美観・性能・安全性すべてにおいて有利
・断熱性能や気密性に応じた「適正サイズ」のエアコン
・過剰性能を避け、ランニングコストが抑えられる機種
・省エネ性能が高く、将来の買い替えも視野に入れた選定
・冷暖房負荷の計算を設計士に依頼する
・住宅の断熱性を加味してサイズを決定する
・新築時に設置工事まで完了させることで、見た目・性能ともに優れた仕上がりに
・長期的な省エネ性やメンテナンス性も重視する
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