物は、どうなると捨てられるのか。
物は、どうなると捨てられるのか。
今日は休日、早朝から海辺のモデルハウスの手入れに勤しむ。
庭の手入れを終え、潮風に吹かれながら、ふと考えた。
この建物は、早いもので建てられて三十五年が経つ。
幾度も嵐に晒され、陽に灼かれ、傷つきながら、それでも静かに、そこに在る。
物は、壊れたから捨てられるのではない。
愛情を失ったときに、忘れられひっそりと捨てられていく。
愛していれば、たとえ不具合があろうと、手をかけ、直し、磨き、
そして”より美しく 住み継ぐ”ことができる。
人間関係も同じ。
煩わしさを厭い、手間を惜しめば、
どんな絆も、音もなく壊れていく。
愛情のあるものは、
たとえ古びても、
なお、美しい。
そんなことをふと思った。
「文・長崎秀人(長崎材木店一級建築士事務所 代表)」