ライフスタイル
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毎朝3時。
まだ夜の名残が残る静けさの中、愛犬と共に一日が始まる。
外に出ると、星が瞬き、月が低く光を落としている。虫の声が遠くから聞こえ、川のせせらぎが寄り添う。
車の音もなく、排気ガスの匂いもない。
ただ澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込む。これ以上の贅沢はないと思う。
散歩を終えると、コーヒーで一服。
その後、家のまわりの掃除に取りかかる。落ち葉を拾い、玄関まわりを整える。
不思議なもので、掃けば掃くほど心が整っていく気がする。
見た目の清潔さ以上に、内側の乱れが少しずつ鎮まっていく。
この季節、春には人を惹きつけた街路樹の桜が、今では嫌われ者だ。
あたり一面に散り広がる落葉を、風が吹くたびに撒き散らす。
それでも、根気よく拾う。通行人が捨てた吸い殻も見逃さない。
これは、ある意味で我慢比べだ。
毎朝きれいに掃くことで生まれる、無言の圧力。
「どちらが先に折れるか」——そんな小さな闘いが、毎朝の儀式になっている。
玄関のそばには、これ見よがしに箒とちりとりを置いてある。
一種のお守りのようなものだ。
「ここは、きれいにしてます」と。
その後、軽くシャワーを浴び、身なりを整える。
6時を過ぎるころ、ようやく空が白み始める。
パソコンに向かい、事務仕事をこなす。
外の世界が少しずつ動き出す気配を感じながら、静かな時間を過ごす。
7時には職場へ。
お気に入りの音楽を流し、コーヒーをひと口。
7時半を過ぎると社員たちが出社してくる。
軽い要件を済ませ、10時にはひと段落。
午前中に打合せや商談をまとめ、午後は雑務をこなす。
夕方5時、仕事を終えて家に帰る。
玄関で犬が尻尾を振って待っている。
家族と食卓を囲み、穏やかな会話を交わす。
そして夜7時には犬と一緒に寝室へ。
そんな一日が、淡々と過ぎていく。
何も特別なことはない。だが、それがいい。
毎日が同じようで、同じではない。
季節の匂い、風の向き、犬の歩幅、月の形。少しずつ違う。
気がつけば、もう一年が終わろうとしている。
早いものだ。
だが、こうして同じ時間に起き、同じ儀式、同じように暮らすこと。
それが、何よりの豊かさだと思っている。