「最新」という言葉
「最新」という言葉に、目を奪われすぎないでほしい
新年度になると、住設メーカーから、どさりと最新のカタログが送られてくる。
家を建てようとすると、
必ずといっていいほど耳に入ってくる言葉がある。
──最新や流行──
最新のシステムバス、流行のキッチン、最新の性能、流行の間取り。
〇〇はもう古い ! 最新の流行は「ホテルライクな空間」おしゃれなキューブ型住宅。
ウキウキする言葉。
けれど、ひとつだけ忘れてはいけない。
「最新」「流行」とは、今が“いちばん新しい”というだけのこと。
一年経てば、もう次が出る。
二年経てば、それは「旧型」になる。
流行は変わり、仕様は変わり、まるで追いかけっこのように。
キッチンなど住宅設備なんか20年も経てば修理交換の憂き目に遭う。
いや交換できるだけまだマシかもしれない。
建物のデザインなどは家がある限り、そこにあり続ける。
「オーセンティック」が一番。
家は洋服のように流行を追うためのものじゃない。
長く住んで、深く馴染んで、
やがて「我が家」と呼ばれる場所になることが、家の本質だと思う。
最新であることに、目を奪われてもいい。
けれど、心まで奪われてはいけない。
時間が経つごとに、
古くなっていくのが不安な家より、
時間が経つほどに**“味わいが深くなる”家**を目指してほしい。
床や建具の木の色が変わること。
手の跡が残ること。
陽の光が壁をなぞること。
それらを「劣化」ではなく「成長」と感じられる家。
そんな家に住めたら、
きっと十年後、二十年後の自分が、
「ああ、この家でよかった」と思えるはずだ。
最新より 「より美しく、住み継ぐ家」
今この瞬間だけではなく、
未来のあなたが、家族と微笑んでいられる空間を。
家づくりとは、そのための問いを立てる時間でもある。