資料は、もう送らないことにした。
住宅展示場が静かだ。
どこも、集客に苦戦しているらしい。
「資料請求は無料」と書かれていても、実際には1件あたり約2,000円以上のコストがかかる。
カタログ、送料、封入作業……決して小さな負担ではない。
それでも配るのは、名簿が欲しいからだ。
「家を建てたい人」を見つけるための仕組みとして。
資料を請求した瞬間に電話が鳴る。
1時間後に営業マンが訪ねてくることもある。
欧米の営業データにはこうある。
「資料請求から5分以内に連絡した方が、断られずに会える確率が高い」
それにしても、Amazonより速いとは。思わず苦笑してしまう。
我々は、名簿を取るための営業はしていない。
資料も、基本的に郵送していない。
決して、不親切にしたいわけではない。
「情報を押しつけるのではなく、自分達で選び取ってもらいたい」
それが私たちの考え方だ。
情報はすべてネットに載せている。
ホームページ、ノウハウブログ、設計士ブログ、LINE、Instagram、坂井さんのInstagram?
YouTube。書籍もある。
まな板の上の鯛。出し惜しみは一切しない。正直に答える。
さらに調べたい人には、好きなだけ調べてもらいたい。
価格、断熱、性能、保証、メリット・デメリット――
知りたいことは、これ以外にもすべて公開している。
最近では「来場でクオカード1万円進呈」という広告も見かける。
相談に行けば、お金までもらえる。
病院で治療を受けて、謝礼までもらうような不思議な話だ。
その費用、誰が払っているのか。
言うまでもないだろう。
私たちの家づくりは、年間25棟の限定。先着予約順の工事となる。
だからこそ、逆を行く。
資料は送らない。
その代わり、WEB・LINE・Instagram・YouTubeで全情報を公開している。
ネットを見て「いいな」感じてもらえれば、お近くのスタジオへ。
事前予約制。案内するのは営業マンではなく、設計士。
売り込みはしない。駆け引きもしない。
聞かれたことに、正直に答えるだけ。
売り込まないと売れない家は、つくっていない。
文・長崎秀人(長崎材木店一級建築士事務所 代表)
PS 7月は長野、四国と移動が多い。ブログはちょっと不定期になるかも。