Thermometer close-up. Weather forecast related 3D
「エアコンをつけても家の中が寒い…」
「夏の湿気で寝苦しくて、夜中に何度も起きてしまう…」
そんなお悩みを福岡でよく耳にします。実はそれ、“温熱環境”が整っていないサインかもしれません。
今回は、福岡の気候に合った快適な温熱環境の基本と、今日からできる暮らしの工夫や家づくりのポイントをお届けします。
福岡の年間の気候には、以下の特徴があります:
夏:気温30℃を超え、湿度は70〜80%以上。ムシムシとした蒸し暑さが続きます
冬:氷点下までは下がらないものの、北風が強く底冷えしやすい地域です
梅雨・秋雨:湿度が高く、カビや結露のリスクも増加
春・秋:穏やかではあるものの、寒暖差や黄砂・PM2.5などの注意が必要
つまり福岡では、「気温」以上に湿度と体感温度のコントロールが快適な暮らしのカギになるのです。
項目 | 理想的な数値 | 補足 |
---|---|---|
冬の室温 | 20〜23℃(目安) | 英国保健省は21℃を推奨 |
夏の室温 | 23〜28℃ | 無理のない冷房温度として推奨 |
湿度 | 年間を通じて40〜60% | 乾燥しすぎも湿気すぎもNG |
さらに、服装や動き方(活動量)も体感温度を左右します。
あくまでも、個人的感覚ですが夏の室温は25度、湿度は50%が快適ゾーン。「絶対湿度11g/m³」
冬場の室温は21度、湿度は50%が快適ゾーン
(寝室は布団に入るので、室温より3度程度低くても快適です。)
福岡の冬は、雪は少ないですが、足元から冷える底冷えが特徴的。
断熱性の高い窓や高気密高断熱にすることで、エアコン1台でも家中が均一に暖まります。
UA値(外皮平均熱貫流率)0.6以下が目安。快適性と省エネ性を両立できます。
夏の直射日光はカット:軒・庇・外付けブラインド(ブリーズソレイユ)・植栽などで遮蔽
冬の日差しは取り入れる:南面の大開口から自然の暖かさを室内へ
福岡では西日対策がとても大切。設計段階での方位検討がポイントです。
福岡は湿気が多く、カビ・結露が発生しやすい地域。
以下のような対策が有効です。
**調湿性のある素材(無垢材・塗り壁など)**の活用
加湿器/除湿器の併用による室内湿度のコントロール
湿度管理は「快適性」「健康」「家の長寿命化」の3つに直結します。
快適さは設備だけで決まるものではありません。
寒い日は厚着やラグなどで冷えを防ぐ
暑い日は麻などの涼しい素材の服を選ぶ
空気の流れを考えて家具の配置も調整する
設備×暮らし方。この両輪で“快適”はつくられます。
A:可能です。ただし「断熱・気密・空気の循環」がセットで必要です。
気密性が低い家では、暖めた空気が逃げてしまいます。
A:はい、正しく施工すれば問題ありません。
むしろ、**無垢材は湿度を調整してくれる天然の“呼吸する床”**です。
A:家の性能と暮らし方次第です。
コストやメンテナンスも含めて検討しましょう。
断熱性能が高ければ、エアコン1~2台+計画換気でも快適に暮らせます。
A:西面に遮熱ガラス・外付けブラインド・庇・落葉樹の植栽などが効果的です。
設計の初期段階から西日対策を組み込むことで、冷房効率も大幅に改善します。
室温や湿度、気流や表面温度。
これらの目に見えない設計こそが、暮らしの質を左右します。
福岡の気候を知り、その土地に合った工夫を重ねることで、
**“ただの高性能住宅”ではなく、“住んでいて心地よい家”**が生まれます。
モデルハウスでは、実際の断熱・気密・湿度設計を体感いただけます。
「この家、なんだか居心地がいいね」
そんな声が自然にこぼれるような家を、私たちは一棟一棟、丁寧につくっています。
お気軽にお問い合わせください。
文責・監修:長崎秀人
福岡県の注文住宅専門の設計事務所「長崎材木店一級建築士事務所」代表。
業界歴35年、建築士・宅地建物取引士資格保有。
設計から施工、不動産取引まで一貫対応する体制で、信頼性の高い住まいづくりを支え続けている。