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注文住宅で後悔しない「ドア」「引き戸」の選び方|メリット・デメリット・設計のコツまで徹底解説

注文住宅で後悔しない「ドア」「引き戸」の選び方|メリット・デメリット・設計のコツまで徹底解説

注文住宅を建てるとき、意外と迷うのが「開き戸」か「引き戸」かというドアの選択です。

「引き戸は便利そうだけど、少し昔の家みたい?」といった疑問の声も多く、どちらが自分たちの暮らしに合うのか悩む方も少なくありません。

この記事では、引き戸の特徴やメリット・デメリット、設計時の注意点、暮らしの中での使い勝手、そして引き戸に関するよくある質問(FAQ)まで詳しく解説します。


■ なぜ、昔の家は「引き戸」だったのか?

  1. 日本の風土と相性がよかった

    • 湿度が高く、季節によって木が動く日本では、蝶番(ちょうつがい)で固定する“開き戸”より、可動に余白のある引き戸のほうが理にかなっていた

    • 台風や強風でも「風を逃す」ことができる。

  2. 間(ま)を自在に変える知恵

    • 昔の家は用途を限定せず、「寝室」「客間」「茶の間」と、引き戸ひとつで役割が変わるように設計されていた。

    • 空間に“固定された意味”を与えない、暮らしの可変性=引き戸文化

  3. 「壁」ではなく、「気配」を通すもの

    • 引き戸のすき間からは、人の声や匂い、明かりや気配が漏れる

    • 家族が互いを感じながら、緩やかに独立できる。「完全な個室」ではなく、「やさしい仕切り」としての存在。

大工さんに聞いた本当の理由

■ 引き戸は“建具”ではなく“可動式の壁”だった?

古い家をリノベーションしていると、玄関・部屋・収納まで引き戸が使われていることに驚かされます。 大工さんによると、昔の引き戸は今でいう「可動式の壁」のような存在。 空間を仕切ったり、広げたり、引き戸は開けっぱなしにしやすい、といった使い分けに欠かせない建具だったそうです。

■ 地震大国、日本の“しなる構造”と相性が良かった

伝統的な日本家屋は、地震の揺れを「受け流す」ように設計された構造(柔構造)。 開き戸は枠の歪みで開かなくなりやすいのに対し、引き戸は多少ズレても開閉可能。 地震大国・日本では、むしろ合理的な選択だったのです。

■ 通風を前提とした住まいの知恵

断熱性が低かった昔の家では、「風を通して涼しく暮らす」設計が基本。 引き戸は“少し開ける”ができて、通風性に優れた建具でした。 人も風も抜ける——日本の夏を快適に過ごす知恵だったわけです。

■ メンテナンス性が高いという利点

昔の引き戸はパーツ規格がまちまちですが、戸車の交換やレール掃除、カンナでの微調整などで復活することも多く、メンテナンス性が高いのも魅力です。

■ 程よい距離感

たとえば子どもの部屋。
引き戸にすれば、完全に閉じ込めず、気配だけはつながっていられる
引き戸は「干渉しないけど見守る」という、日本人の距離感を象徴する建具です。

■ 結論:引き戸は「合理性の結晶」だった

昔の家に引き戸が多いのは、単なる流行ではありません。 生活様式、気候、換気、通風、構造、安全性といった複数の要素が導いた“最適解”だったのです。


引き戸のメリット|暮らしにフィットする「合理的な選択」

1. 空間を最大限に活かせる

引き戸は開閉時にスペースを取らないため、室内にデッドスペースが生まれません。開き戸では必要な“扉が開くスペース”が不要になり、狭小住宅や家具配置に自由度が増します。

2. 動線がスムーズで安全

突起物であるドアノブに服や荷物が引っかかる心配がなく、特に和服を着る方や小さなお子様、高齢者のいる家庭では安全性が高いと評価されています。また、車椅子対応にも最適です。

3. 地震時の避難性に優れる

地震の際、開き戸は枠が歪んで開かなくなるリスクがありますが、引き戸はレール上を滑らせて外すことができるため、避難経路として有効とされています。

4. 空間の可変性と文化的な美意識

引き戸は空間を「つなげる・仕切る」ことが自在にでき、和室やリビングとの連動によって“気配のつながり”を演出できます。城壁のような壁文化の海外と異なり、柱梁の日本建築の思想に根ざした設計意図が込められる建具です。


引き戸のデメリットと対策|構造・気密性・コスト

1. 玄関などで使う場合気密性が低くなりがち

引違い戸では玄関などの使用では隙間風のリスクがあります。(近年では気密性のある引き戸も)

  • 【対策】:三方枠・モヘア付き気密パッキン・吊り戸式の採用

2. 2×4住宅など構造制限がある

面構造では戸袋部分が耐力壁として使えず、強度確保が難しくなる場合があります。

  • 【対策】:設計段階での配慮/外付けレール式/両引き戸/耐力壁の分散配置

3. メンテナンスと耐久性

長期の使用によるホコリ詰まりの課題も。

  • 【対策】:樹脂レールや交換可能パーツを活用、定期的な清掃を前提とした設計

4. コストが高め

一般に開き戸より施工費用が高くなる傾向。

  • 【対策】:使用箇所の厳選と予算配分。コスト以上の利便性が得られる場面に絞る。

引き戸のおすすめ設置場所と使い方

設置場所 引き戸の効果 設計のポイント
洗面・トイレ 狭小空間でもストレスなく開閉可能 上吊り式や三方枠での気密性向上が鍵
子ども部屋 ドアノブ事故がなく安全・将来の可変性 閉じすぎない開口計画と可動家具と相性良し
食器棚・収納 開けっ放しでも邪魔にならない 扉の跳ね返り防止・静音仕様が望ましい
リビング・和室 空間の一体利用が可能 枠納まりの美しさと建具材質の調和

よくある質問(FAQ)

Q1. 引き戸はなぜ人気なの?

  • 空間効率が高く、使い勝手がよいため。開き戸と比べて生活動線を邪魔しない点が評価されています。

Q2. 外部使用の場合、気密性は本当に悪いの?

  • 近年では気密性のある引き戸もありますが対策をすれば気密性は確保できます。三方枠・吊り戸・気密パッキンなどが有効です。

Q3. 2×4住宅でも引き戸は可能?

  • 条件付きで可能です。設計段階から配慮すれば外付けや両引き戸で対応可能です。

Q4. 長年使うと動きが悪くなる?

  • 可能性はありますが、清掃・部品交換・定期点検で長く使えます。

Q5. コストは高い?

  • 一般的に開き戸より高いですが、空間効率や安全性の面で総合的には価値があります。

Q6. リフォームで後付けできる?

  • 戸袋が取れるかどうか次第ですが、上吊り式などを使えば可能な場合もあります。

まとめ:引き戸は“暮らしをデザインする建具”

引き戸は、単なる建具の選択肢ではありません。空間効率・安全性・美しさ・文化性──それらすべてを体現する暮らしの一部として、設計の初期段階から考えるべき要素です。

気密性や構造制限などの課題はあるものの、しっかりとした知識と設計配慮があれば、引き戸は“最も合理的で美しい選択肢”になります。

注文住宅を検討している方こそ、ぜひ引き戸という可能性を真剣に検討してみてください。

 

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文責・監修:長崎秀人
福岡県の注文住宅専門の設計事務所「長崎材木店一級建築士事務所」代表。
業界歴35年、建築士・宅地建物取引士資格保有。
設計から施工、不動産取引まで一貫対応する体制で、信頼性の高い住まいづくりを支え続けている。

 

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