── 福岡スタジオ 八川より
こんにちは。
福岡スタジオの八川です。
先日――いや、実際にはちょっと前ですが(笑)、
お客様とのお打ち合わせの中で、とても印象に残る会話がありました。
ご主人:「僕、かなりの暑がりなんですよね……」
奥さま:「私は逆に、かなりの寒がりで……」
私:「……なるほど、それはまた(笑)」
この“あるある”なご夫婦のやりとり。
家づくりをしていると、本当に多くのご家庭で出会います。
ご主人:「最近の家って高性能なんですよね? どこ行っても“あったかい・涼しい”って聞くけど…」
奥さま:「でも、その性能を上げるって、お金もかかるし。ZEHってよくわからなくて……」
ご主人:「“究極の快適な住まい”って、なんですか? できればお金かけずに…(笑)」
この質問に、私の頭の中にふっと浮かんだのが「洞窟」でした。
私:「カッパドキアとか、どうです?(笑)住んだことないですけど、快適らしいですよ。」
半分冗談ですが、実はあながち間違いでもありません。
洞窟って窓がないから、外の気温に左右されにくい。
夏でも冬でも、内部の温度が一定に保たれやすいのです。
家の中が暑くなったり寒くなったりするのは、外気との「熱の出入り」によるもの。
とくに大きな影響を与えるのが「窓」なんです。
建物の中で、熱の移動量が最も大きいのが「開口部=窓」。
つまり、快適さを追求するなら、窓を最小限にすべき……
けれども、窓のない家には、私たちは住めませんよね。
なぜなら、窓には以下の3つの大切な役割があるからです。
風通し(通風)
採光(自然光の取り入れ)
景色・ロケーション(心地よさ・眺め)
この3つの要素が、私たちの「住み心地」を豊かにしてくれます。
だからこそ、**性能とコストと快適性の“バランス”**が大事なんです。
ZEHや断熱等級など、高性能な家は確かに理想的です。
でも現実には、予算の上限がある。
だからこそ、やみくもに性能を追うのではなく、「窓の設計」や「素材の選定」などで、賢く予算配分をしていくことが大切です。
たとえば――
南側の大開口には高性能なトリプルガラスを採用する
北側や日射が少ない面は窓のサイズを絞る
開ける必要がない場所には、FIX窓(開閉しない窓)でコストを抑える
こうした工夫で、快適さを保ちながら、コストも抑えた設計ができるんです。
「バランスって大事ですね」
お客様からそう言っていただけたことが、今回の打ち合わせで一番うれしかった言葉です。
土地選びも、間取りも、性能も、コストも――
家づくりはすべて“配分”のバランスが要。
お客様の大切な資産を、どこに、どれだけ、どう使うか。
それを真剣に考えて提案することが、私たち設計士の仕事だと、あらためて感じた出来事でした。
Q. 窓を減らせば、断熱性は上がりますか?
A. はい。窓は熱の出入りが最も大きい場所なので、面積が小さくなれば断熱性能は上がります。ただし、採光や通風、眺望とのバランスを考慮しないと、住み心地が悪くなることもあります。
Q. 性能とコスト、どちらを優先すべきですか?
A. どちらかを一方的に優先するよりも、「自分たちの暮らしにとって必要な性能」を見極め、それに見合ったコスト配分をすることが重要です。過剰な性能は“宝の持ち腐れ”になりかねません。
Q. 窓の性能を上げるには、どんな方法がありますか?
A. ガラスを「Low-E複層」や「トリプルガラス」にする、サッシを樹脂製にする、シャッターや外付けブラインドを併用するなどの方法があります。窓の性能向上は、断熱・防音・遮熱にも効果的です。
Q. 自分たちに合った窓の設計は、どう決めればいいですか?
A. ライフスタイル、土地の条件(方角・隣地との距離・景観)などをもとに、目的別に窓を検討していくのが基本です。設計士と一緒に「なぜこの窓がここに必要か」を話し合いながら決めていくのがおすすめです。
私たち長崎材木店一級建築士事務所は、“より美しく、すみ継ぐ”という思想のもと、福岡で自然素材の注文住宅を、設計から施工まで一貫して手がけています。ただ家を建てるのではなく、暮らしをかたちにすることを何より大切にしています。「福岡で家を建てるなら、長崎材木店 一級建築士事務所」──そう言っていただけるように。