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【保存版】新築住宅で固定資産税が高くなるのはどんなとき?福岡で注文住宅を建てる。

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【保存版】新築住宅で固定資産税が高くなるのはどんなとき?

──「何のために家を建てるのか」を忘れないために

2025年最新版|福岡で注文住宅を建てる方へ


■ はじめに|「固定資産税が高いから、やめておこう」は本末転倒

家づくりの相談を受けていると、ときどき聞く言葉があります。
「それだと固定資産税が高くなるんですよね?」
「だったら、もっと安い仕様でいいかな…」

その気持ちは、よく分かります。
税金は安いに越したことはない。けれど、それで本当に欲しかった家から遠ざかってしまったとしたら?

──そもそも、何のために家を建てるのか。
そこを見失ってしまっては、せっかくの家づくりが数字合わせの“取引”になってしまいます。


■ 固定資産税の評価が上がる要素とは?

新築住宅は完成後、市町村が実施する「家屋調査」によって、建物の評価額(=課税額のもとになる金額)が決まります。

評価額が高くなる要因を知っておくことで、「知って選ぶ家づくり」ができるようになります。


評価額が上がる主な要素7選:

  1. 延床面積が広い

  2. 無垢材や自然素材など上質な素材

  3. 床暖房・全館空調・乾燥機などの設備充実

  4. 外構(塀、ウッドデッキ、カーポートなど)

  5. 屋根一体型の太陽光発電システム

  6. 高性能断熱・高耐久構造(外張り断熱・ベタ基礎等)

  7. ビルトインガレージやロフト、小屋裏収納など


■ 評価が上がること=損?

固定資産税が上がるということは、それだけ良質な素材が使われているということ
つまり、家の本質的な豊かさ暮らしの質が上がっている証でもあります。

評価額を下げるために素材や設備を落とすことは、
「維持費が安くなる代わりに、心の満足度を失う」ということにもなりかねません。


■家とは、一生に一度の生活の舞台装置です。

家とは、一生に一度の生活の舞台装置です。
家族の時間を重ね、思い出を刻み、心の拠り所となる「暮らしの容れ物」。

税金を抑えることは大切かもしれません。
でも、それが**「本当に住みたい家」を妥協する理由**になってはいけない。

大切なのは、評価額の上下ではなく、
その家に、どれだけ「自分らしい価値」が宿っているか。


■ 評価額のベース:「再建築価格方式」

新築住宅の建物評価は「再建築価格方式」で算定されます。
これは、その建物と同じものを再び新築した場合にかかる工事費を基準に、原価をベースに評価額を出す方式です。

まず基本となる式はこちら:

固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)

そこから「経年減価補正」などが入り、最終的な評価額が決定されます。


■ 新築住宅の固定資産税評価の流れ(ざっくり)

  1. 家屋調査により、以下の仕様がチェックされる

    • 面積(延床面積・階数)

    • 屋根材(瓦・ガルバリウムなど)

    • 外壁材(サイディング、左官、板張りなど)

    • 内装(フローリングの材質、天井・壁の仕上げ)

    • 設備(トイレ、風呂、キッチン、空調など)

    • 基礎(ベタ基礎 or 布基礎)や断熱仕様

  2. それぞれに「点数(単価)」が割り振られる(材質ごとに国が定めた基準単価)

  3. 延床面積 × 単価 + 設備点数を加算した「再建築価格」が算出される

  4. そこに経年補正をかけて「評価額(課税標準)」が決まる

参照 総務省 自治税務局 資産評価室 「固定資産評価のしくみについて (家屋評価)」PDF


■ 実例 目安として:評価額と税額の差

ここで具体的な数値を示します。

●ケース① ローコスト住宅(標準仕様)

  • 延床面積:30坪(約99㎡)

  • 総工事費:約1,800万円

  • 評価額:約900万円

  • 固定資産税:900万円 × 1.4% = 126,000円/年


●ケース② 中間グレード住宅(自然素材あり・設備やや充実)

  • 延床面積:30坪

  • 総工事費:約2,400万円

  • 評価額:約1,200万円

  • 固定資産税:1,200万円 × 1.4% = 168,000円/年


●ケース③ 高性能・自然素材住宅(床暖房・無垢材・外構充実)

  • 延床面積:30坪

  • 総工事費:約3,000万円

  • 評価額:約1,500万円

  • 固定資産税:1,500万円 × 1.4% = 210,000円/年


■ 「高くなる」といっても差額はこのくらい

グレード 評価額(概算) 税額(概算) 年間差額
ローコスト 900万円 126,000円
中間グレード 1,200万円 168,000円 +42,000円/年間
高性能・高仕様 1,500万円 210,000円 +84,000円/年間

※あくまで目安です。評価額は市町村・仕様・面積によって変動します。


さらに詳しく。福岡法務局の事例

固定資産税の建物評価に関する具体的な基準は、法務局が定める「新築建物課税標準価格認定基準表」によって定められています。この基準表は、建物の構造や用途に応じて、1平方メートルあたりの単価が設定されており、評価額の算出に用いられます。

■ 福岡法務局の基準例(令和6年度)

福岡法務局が公表している令和6年度の基準では、以下のような単価が設定されています:houmukyoku.moj.go.jp

  • 木造住宅(居宅)1㎡あたり約107,000円〜121,000円

  • 軽量鉄骨造住宅1㎡あたり約130,000円

  • 鉄筋コンクリート造住宅1㎡あたり約166,000円

これらの単価は、建物の構造や仕様により異なります。詳細な数値や他の構造に関する情報は、福岡法務局の公式サイトで公開されている「新築建物課税標準価格認定基準表」をご参照ください。

■ 評価額の算出方法

建物の評価額は、以下の計算式で求められます:

評価額 = 1㎡あたりの単価 × 延床面積 × 経年減点補正率

  • 1㎡あたりの単価前述の基準表に基づく

  • 延床面積建物全体の床面積

  • 経年減点補正率建物の築年数に応じて減価される率nta.go.jp+1houmukyoku.moj.go.jp+1

例えば、木造住宅で延床面積が100㎡、築年数が10年の場合、評価額は以下のように算出されます:

評価額 = 107,000円 × 100㎡ × 補正率

補正率は、建物の築年数や構造により異なります。詳細な補正率については、固定資産評価基準に定められています。

■ 固定資産税の計算

評価額が算出された後、固定資産税は以下の式で計算されます:

固定資産税額 = 評価額 × 1.4%(標準税率)

例えば、評価額が1,070万円の場合、固定資産税額は約149,800円となります。

■ 減額措置について

新築住宅には、一定の要件を満たす場合、固定資産税の減額措置が適用されることがあります。例えば、長期優良住宅や耐震・省エネ性能を有する住宅などが対象となります。詳細な要件や手続きについては、こちらの福岡市の公式サイトをご確認ください。


固定資産税の評価額は、建物の構造や仕様、築年数などにより大きく変動します。家づくりを検討される際は、これらの要素を踏まえて、将来的な税負担も考慮することが重要です。具体的な評価額のシミュレーションや詳細な情報が必要な場合は、専門家への相談をおすすめします。


■ ポイント:新築から3年間は「減額措置」あり

新築住宅の特例措置として、以下のような減額制度があります(住宅用地にもあり):

  • 床面積が50㎡以上280㎡以下の一般住宅 → 建物評価額の1/2が減額

  • 期間:3年間(3階建て以上は5年間)

  • 認定長期優良住宅は**5年間(3階以上は7年間)**に延長される


■ 結論:少し高くなっても“意味ある出費”かを考える

たとえば、評価額が300万円高くなったとしても、税金の差は 年間4万円程度
「無垢の床の温もり」「静かな断熱性」「耐久性の高い家」を得られるなら、むしろ安い出費と考えるべきだという考え方もあります。

■ よくあるご質問(FAQ)

Q1. 固定資産税評価が一番高くなるのはどんな家?

  • 広くて、無垢材・塗り壁など自然素材を使った家

  • 床暖房・全館空調・屋根一体型ソーラーなど設備が豊富な家

  • ビルトインガレージや外構がしっかりしている家


Q2. 節税のために素材を変えるべきですか?

  • 単に税金を下げるために素材を妥協するのは本末転倒。
    自分にとって何が必要で、何が不要かを見極めることが大切です。


Q3. ロフトや吹き抜けも課税対象?

  • ロフトや吹き抜けは延床面積に含まれない場合もありますが、仕上げ材や構造によっては加点対象になります。


Q4. 太陽光発電は評価対象ですか?

  • 屋根と一体化しているタイプは評価対象になりますが、据え置き型は対象外です。


Q5. 家を建てた翌年から課税されるの?

  • はい。建物が完成した翌年の1月1日時点での所有者に対して課税されます。


■ 最後に──家の価値は「税額」では測れない

数字だけを見れば、高くつく家かもしれない。
けれど、その家で育つ子どもの背丈の印、
冬にあたたかく過ごせる安心感、
夕暮れ時の木の香り、
そういう“かけがえのないもの”が、評価額には含まれていません。

税金よりも、自分の人生に対してどれだけ価値ある家かを考えてみてください。
その答えは、きっと「固定資産税」では測れないはずです。


 

▪️さらに詳しくは弊社顧問税理士等、専門家チームへご相談を。

 

文責・監修:長崎秀人
福岡県の注文住宅専門の設計事務所「長崎材木店一級建築士事務所」代表。
業界歴35年、建築士・宅地建物取引士資格保有。
設計から施工、不動産取引まで一貫対応する体制で、信頼性の高い住まいづくりを支え続けている。

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