こんにちは、ガーデン担当の引地です。
いよいよ暑さが増してきましたね。今年も本格的な夏がすぐそこまで来ているように感じます。
さて今回は、「植物と暮らし」について、少しだけ専門的な視点も交えてお話ししてみたいと思います。
田舎や自然が豊かな地域を訪れると、「なんだか涼しい」と感じることはありませんか?
それは木々がもたらす“蒸散作用”によるものです。
木は根から水分を吸い上げ、葉の裏側にある「気孔(きこう)」という小さな穴から水分を蒸発させています。
この蒸発(=蒸散)によって気化熱が奪われ、周囲の空気の温度を下げるという仕組みです。
言い換えれば、木は“自分の体温を調整する”と同時に、“周囲を涼しくしてくれる”のです。
家づくりにおいて木を植えるというと、「見た目の雰囲気を良くするため」と捉えられがちですが、実はそれ以上の役割があります。
景観を豊かにし、暮らしに奥行きを与える
たった1本の木でも空間に「立体感」が生まれ、家そのものの表情が豊かになります。
木陰をつくり、夏の直射日光を和らげる
特に落葉樹は、夏は日差しを遮り、冬は葉が落ちて日差しを通すという優れた特徴を持っています。
蒸散による気温の緩和
数本の木をうまく配置することで、庭全体の“体感温度”を下げる効果があります。
気温差による微風が生まれる
日陰と日向の気温差により、庭にやさしい風が生まれます。これもまた、心地よさの正体です。
防風・目隠しの効果も
風の勢いをやわらげ、隣家や道路からの視線をさりげなく遮る役割も担ってくれます。
収穫を楽しむ「実のなる庭」
例えばレモンの木を植えれば、毎年少しずつ実をつけ、暮らしに小さな楽しみを与えてくれます。
確かに、落ち葉や剪定などの手間はゼロではありません。
しかし、近年ではローメンテナンスな樹種の選定や、防草対策と組み合わせた設計で、最小限の労力で植物と暮らすことが可能になってきました。
たとえば、おすすめの樹種には:
シマトネリコ(常緑・目隠しに最適)
ヤマボウシ(落葉・季節感がある)
レモン、ブルーベリーなどの果樹系
などがあります。
実際に私たちが担当したあるお住まいでは、高木・中木・低木あわせて120本以上、40種類以上の樹木を植えさせていただきました。
季節ごとの表情が違い、10年後にはまるで“もうひとつの家族”のような存在になることでしょう。
木は1日で完成するものではありません。
しかし、時を重ねるほどにその価値は増し、暮らしに深みと彩りをもたらします。
家を建てるという大きな決断のなかに、ぜひ「木を植える」という選択肢を加えてみてください。
植え方や組み合わせは、ガーデンプランナー・平下までお気軽にご相談ください。
Q. どんな種類の木を植えればよいか分かりません。
A. ご家庭の立地・日当たり・生活スタイルに合わせて、プロのガーデンプランナーがご提案いたします。
Q. メンテナンスが不安です。落ち葉や剪定はどうすれば?
A. ローメンテナンスな木を選んだり、剪定のいらない樹形に整えることで、手間は最小限に抑えられます。定期的な剪定サービスもご相談ください。
Q. 庭の設計はいつ頃から考えるべきですか?
A. 家の設計と並行して考えるのが理想です。建物とのつながりを意識した庭づくりで、暮らしの質がぐっと上がります。
Q. どれくらいの予算で庭づくりができますか?
A. 施工規模によりますが、一般的には建築費の5〜10%程度が目安です。ポイントを絞った“スポット植栽”でも雰囲気は大きく変わります。
私たち長崎材木店一級建築士事務所は、“より美しく、すみ継ぐ”という思想のもと、福岡で自然素材の注文住宅を、設計から施工まで一貫して手がけています。ただ家を建てるのではなく、暮らしをかたちにすることを何より大切にしています。「福岡で家を建てるなら、長崎材木店 一級建築士事務所」──そう言っていただけるように。