【プロが教える】無垢床のへこみは“家と暮らす楽しみ”の一部です
~へこみ補修の手順~
こんにちは。
福岡スタジオ・メンテナンス担当の實渕(みぶち)です。
「無垢の床、気に入ってます。でも…うっかりへこませちゃいました」
そんなお声を、お引渡し後のお客様からときどき耳にします。
気持ち、よく分かります。
新築したばかりの家。無垢の床もピカピカ。
それだけに、ちょっとした傷やへこみが気になってしまうものですよね。
でも、大丈夫です。
無垢材は“直せる素材”です。
そして――
傷がついてからが、家との本当の付き合いのはじまりとも言えます。
■ なぜ無垢の床はへこむのか?
無垢材は「生きている素材」です。
伐採されて製品になっても、空気中の湿気や温度に反応して、
膨らんだり縮んだりしながら呼吸を続けています。
つまり、それだけ柔らかく、自然な素材だということ。
だからこそ、人の暮らしの中でできた**“へこみ”や“キズ”も、家族の歴史のひとつ**として刻まれていく。
それでも「目立つから、少しでも直したい」と思う方のために、今回は簡単な補修方法を詳しくご紹介します。
■ 無垢の床のへこみ補修に必要なもの
家にあるものだけで補修できます:
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霧吹き(水道水でOK)
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綿のフキン(100均で売っているもので十分)
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家庭用アイロン(スチーム機能付きでも可)
ポイントは、「木に水分と熱を与えて繊維を膨らませる」という原理です。
■ 実践編|無垢床のへこみを戻す手順

STEP 1|へこみに霧吹きで水を吹きかける

水分を与えて、木が吸水するのを待ちます。
(※ びしょびしょにならない程度でOK)
STEP 2|濡らしたフキンを軽く絞って、へこみに乗せる
乾いたフキンでは効果がありません。しっかり濡らしておくのがポイント。
STEP 3|中温のアイロンで「ジュ~」っと5秒ほど当ててすぐ離す

スチームが出て「シュー」と音がしたらOK。
その後すぐにアイロンを持ち上げ、熱しすぎないように注意。
STEP 4|これを2~3回繰り返す

少しずつ、木のへこみが戻ってきます。完全に平らに戻らなくても、目立たない程度には回復することが多いです。
■ Before→After で何が変わる?
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へこみが“見えなくなる”というより、“気にならなくなる”
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木の持つ回復力を感じることで、家に対する愛着が深まる
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「自分で直せた」という体験が、住まいへの誇りにつながる
■ 注意点とアドバイス
項目 |
内容 |
練習場所 |
まずは目立たない場所(クローゼットの中など)で練習してみましょう |
深い傷 |
表面の木が割れていたり、欠けていたりする場合は専門の補修が必要です |
フローリングの種類 |
合板フローリングやプリント板にはこの方法は使えません。必ず“無垢材”のみで! |
焦げ注意 |
長時間アイロンを当てないこと(焦げ跡がつくことがあります) |
■ よくあるご質問(FAQ)
Q. 本当にこんな簡単な方法でへこみが直るの?
→ はい、無垢材の浅いへこみであれば十分効果があります。木の“戻る力”を使うだけの自然な方法です。
Q. フローリングが反ったりしませんか?
→ 過剰に濡らしたり、アイロンを長時間当てすぎたりしなければ問題ありません。
Q. 傷も“味わい”と考えた方がいいのでしょうか?
→ そのとおりです。私たちが考える“木の家”とは、直しながら愛着を深める暮らしです。キズも、あなたの暮らしの記録になります。
■ 最後に|“直すこと”は、“住まうこと”
人間の身体もそうですが、家もまた「完璧な状態」だけが正解ではありません。
少しずつ、暮らしの跡が刻まれて、
手をかけながら「自分たちの家」になっていく。
無垢の床は、それを実感させてくれる素材です。
今回のようなちょっとした補修も、
家と丁寧につきあう第一歩だと考えています。
【ハウスレスキューより】
今後も、住まいのちょっとしたトラブルに役立つ記事をお届けしていきます。
無垢の家にお住まいの皆さまが、より長く快適に暮らせますように。