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【設計士が語る】 落ち着く空間には“ヒミツ”がある?木視率から考える、居心地のいい家のつくり方

【設計士が語る】

落ち着く空間には“ヒミツ”がある?木視率から考える、居心地のいい家のつくり方

こんにちは。設計士の八川です。^^

突然ですが、あなたにとって「落ち着く空間」ってどこですか?

おうちのリビング?
お気に入りのカフェの窓際の席?
それとも、旅先の古民家宿?

実はこうした「なんだか落ち着く」「ほっとする」空間には、
**ちゃんとした理由と“科学的な根拠”**があるのです。

今日は、その秘密のひとつである「木視率(もくしりつ)」についてお話しします。


■ 木視率(もくしりつ)ってなに?

木視率とは――
室内空間の中に“木”がどれくらい見えているかを表す割合のこと。

もっとわかりやすく言うと、
その場所に立って周囲を見回したときに、**目に入る風景のうち、木肌が何%あるか?**という指標です。

これはただの感覚ではなく、実際に建築環境心理学の分野で研究が進められており、
「木視率が30〜50%の空間」は、人が最も安心感や心地よさを感じやすいという結果が出ています。


■ 木を使えば使うほど、いいわけじゃない?

ここが面白いところなのですが、
実は「木が多ければ多いほどいい」というわけではありません。

たとえば、天井も壁も床もすべて木にした空間――
ログハウスのような空間は、一見すると“木の温もりたっぷり”ですが、
実際には落ち着かず、圧迫感を覚える
という方もいます。

これは木視率が70〜80%以上になってしまい、
脳が休まる“抜け”や“対比”が失われてしまうためです。


■ 木と他素材の“ちょうどいいバランス”が鍵

ではどうすればよいのでしょうか?

たとえば、以下のような組み合わせが理想的です。

  • 床:無垢の木材(自然な木目が見える)

  • 天井:木目調 or 白の塗装

  • 壁:漆喰や珪藻土など、自然素材の白壁

  • 家具:木製をベースに、ファブリックやアイアンと組み合わせる

こうすることで、空間全体の木視率は40〜50%程度に保たれ、
「木の温もり」と「静けさ・安らぎ」のバランスがとれた空間になります。


■ 実際の事例で見る、木視率の違い

こちらは、糸島の施工事例。
床と天井に木材を使いながらも、壁や造作家具は白を基調にし、
木視率を約45%程度に抑えた空間です。

▼写真1:糸島の施工例(木視率 約45%)
視線が奥へ抜け、空間が広く感じられる。

一方こちらはサウナ室の写真。
床・壁・天井すべてが木で構成されており、木視率は90%を超えます

▼写真2:サウナ室(木視率 約90%)
リラックスはできるが、長時間居るには少し圧迫感がある。

つまり、木の質感を楽しみつつ、引き算をする勇気も必要ということですね。


■ 家づくりのヒントに:「木視率を考える」

木視率を考慮すると、家づくりがより楽しくなります。

  • リビングは40〜50%の木視率で落ち着きを演出

  • 子ども部屋は木を控えめに、白を基調にして集中しやすい空間に

  • キッチンには木とステンレスを組み合わせて“緊張感と温もり”の共存を

こうした視点で設計を進めていくと、
見た目だけではない“居心地”まで計算された空間が生まれてきます。


■ 最後に:感覚に、理論を添える

「なんとなく居心地がいい」
この“なんとなく”には、実はしっかりとした理由がある。

木視率という視点を知っていると、
自分が心地よく感じる場所の“理由”がわかり、
その心地よさを自分の家づくりにも活かすことができます。

家づくりのゴールは「見た目の良さ」だけでなく、
日々の心の安らぎをどうつくるかにあると、私は思っています。

ぜひ、木視率という視点をひとつのヒントにしてみてくださいね。^^

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 木視率(もくしりつ)って本当に居心地に関係あるんですか?
はい、関係があります。
木視率は「目に見える範囲に木がどれくらいあるか」を数値化したもので、
建築環境心理学の分野では、木視率が30〜50%の空間が最も安らぎを感じやすいとされています。
つまり、木の使いすぎも使わなさすぎも「落ち着かない」と感じる原因になります。


Q2. 木視率はどうやって測るのですか?
厳密には建築パースやVRモデル、視野角測定を使って割り出す方法もありますが、
設計段階では「空間の中に木肌が見える部分(床・壁・天井・家具)」を目視ベースでおおよそ把握し、
トータルで何割くらいかを感覚的に判断することが多いです。
当社では設計士が経験と実績をもとに最適な木視率をご提案しています。


Q3. 木視率を高くしたいと思ったら、どんな工夫ができますか?
床や天井を無垢材にする、木製家具を増やす、梁を見せるなどが代表的です。
ただし、木視率が高くなりすぎると圧迫感が出るので、
壁は塗り壁や白壁で抜け感を出すなど、「足し算」と「引き算」のバランスが大切です。


Q4. 木視率が低すぎる空間は、どうすれば温かみが出ますか?
木製のテーブルや椅子、観葉植物、小物や照明などを取り入れると、
素材の質感で木視率を“視覚的に補う”ことができます。
インテリアだけでなく視線の先に木が見えるように配置する工夫も効果的です。


Q5. 木視率は子ども部屋や書斎にも関係あるのでしょうか?
はい、空間の目的に応じて調整すると良いです。
たとえば子ども部屋や書斎は集中力を高めるために、木視率は低め(20〜30%)がおすすめ。
リビングや寝室は安心感とやすらぎを感じられるように40〜50%前後が理想とされます。
空間の用途に応じた「木の見せ方」を設計に取り入れると、より快適な家になります。

私たち長崎材木店一級建築士事務所は、“より美しく、すみ継ぐ”という思想のもと、福岡で自然素材の注文住宅を、設計から施工まで一貫して手がけています。ただ家を建てるのではなく、暮らしをかたちにすることを何より大切にしています。「福岡で家を建てるなら、長崎材木店 一級建築士事務所」──そう言っていただけるように。

 

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