―― 地域を読み、暮らしを整える設計を ――
窓をどう設計するかで、家の快適性は大きく変わります。
光、風、防犯性、そしてプライバシー。
そのすべてに「地域性」が影響するからこそ、福岡の気候と風土を読み解いた家づくりが必要です。
福岡は、夏は高温多湿で蒸し暑く、冬は温暖で雨の多い温暖湿潤気候の都市です。
長崎材木店では、こうした日照特性に合わせて、以下のような工夫を行います。
夏:南の高い日差し → 庇や軒でしっかり遮る。また日の出が5時くらいになりますので、朝が苦手、小さな子供がいる。などの方の寝室については遮光タイプのブラインドなどを採用するのも一考かもしれません。
※福岡の2025年6月21日(夏至)の日の出と日の入り時刻は以下の通りです。
日の出:5時9分 日の入り:19時32分 この日は一年で最も昼が長い日となります
冬:低い太陽角度 → 室内奥まで暖かい光を導く 吹き抜け窓などは奥まで光を入れてくれます。
西日:夕方の熱を防ぐ → 袖壁、縦格子、植栽で柔らかく遮る
単に明るいだけでなく、“心地よい光”を取り込むことが、快適な家の基本です。
福岡では、夏は南から湿った海風、冬は北東から冷たい季節風が吹きます。
この風の流れを上手く活かすことで、冷暖房に頼りすぎない暮らしが叶います。
設計の工夫としては…
風上に開口部(南側)、風下に排出口(北側)を設ける
引き戸や室内窓で“風の抜け道”をつくる
吹き抜けや階段で上下方向にも風を通す
特に夏の湿気対策には、自然通風が効果的。
“風が通り抜ける間取り”は、福岡の蒸し暑さにとって強い味方です。
福岡の都市部や住宅地では、隣家との距離が近く、防犯やプライバシー対策も重要なポイント。
ただ窓を減らすのではなく、**「配置」と「仕様」で守る設計」を行います。
通りに面する場所には高窓やスリット窓+防犯ガラス
外からの視線を受けにくい角度で配置
必要に応じて面格子・シャッターを採用
「光や風を取り入れたいけれど、防犯も気になる」
そんなお悩みに対して、安心と快適を両立する窓設計をご提案します。
A:はい。風通しと日射遮蔽を工夫することで、涼しく快適な住まいが実現できます。
南風を取り入れる開口部と、北側への抜け道を設計
庇や軒で日射を遮り、室温の上昇を抑える
西日は縦格子や植栽、Low-Eガラスで柔らかくコントロール
福岡の夏は“湿気との闘い”でもあります。
自然の風を通すことで、エアコンに頼らず快適に過ごせます。
A:できます。断熱性の高い窓と北側の開口部の工夫で対応可能です。
北側には必要最小限の窓、かつ断熱ガラスを使用
室内側には障子や厚手のカーテンなどを組み合わせて保温性UP
吹き抜けや階段室も、冷気が溜まらない設計に調整します
“冷たい風をどう受け止め、どう逃がすか”が冬の設計ポイントです。
A:窓の“数”より、“配置と対策”が防犯性を左右します。
道路側には人目を活かした配置で「見せて守る」
死角には面格子・防犯ガラス・照明計画も併用
引き戸や掃き出し窓にも鍵の種類や補助錠で強化可能
“開け放しても安心”な住まいづくりを大切にしています。
A:窓の高さ・形・角度で視線をずらすことで解決できます。
隣家と窓位置が重ならないように配置
高窓や横スリット窓で採光とプライバシーの両立
縁側や植栽を通して「間」を取る設計も有効です
「隠す」のではなく「見えにくくする」設計が、ストレスのない暮らしにつながります。
A:南北の通風ラインを確保することが基本です。
南側に大きな窓、北側に小さな抜け道を
廊下・吹き抜け・室内窓を活用し、風を滞らせない
引き戸や建具の上部開口を使って、空気の流れをつくる
“風の通り道”ができると、家の中が自然と気持ちよく整います。
光と風、防犯と快適性。
それらはバラバラではなく、「窓」という設計ひとつでつながっています。
福岡のように湿気があり、風も強く、光も強い地域では、
地域性を無視した窓配置は、快適性・耐久性ともに損なう原因になります。
“地域と暮らしを読む設計”を大切にし自然の力を活かしながら、
人生に耐える家を作りましょう。
文責・監修:長崎秀人
福岡県の注文住宅専門の設計事務所「長崎材木店一級建築士事務所」代表。
業界歴35年、建築士・宅地建物取引士資格保有。
設計から施工、不動産取引まで一貫対応する体制で、信頼性の高い住まいづくりを支え続けている。
私たち長崎材木店一級建築士事務所は、“より美しく、すみ継ぐ”という思想のもと、福岡で自然素材の注文住宅を、設計から施工まで一貫して手がけています。ただ家を建てるのではなく、暮らしをかたちにすることを何より大切にしています。「福岡で家を建てるなら、長崎材木店 一級建築士事務所」──そう言っていただけるように。