― マンションのリスクをなくすために知っておくべきこと ―
監修:長崎秀人(長崎材木店 一級建築士事務所)
家を買うとき、つい「価格」や「間取り」「立地」ばかりを見てしまいがちですが、実はもっと大事なことがあります。
それが「用途地域(ようとちいき)」。
この言葉、聞きなれない方も多いかもしれませんが、用途地域はその土地の将来の環境や資産価値を大きく左右する「ルールブック」のようなものです。
今回は、マンション購入時の注意点や、住宅地の未来を守るポイントも交えて、「用途地域」の基本をわかりやすく解説します。
用途地域とは、都市計画法に基づいて、土地に「どんな建物が建てられるか」を決めるエリア区分のことです。
✅ 住宅だけの地域
✅ 店舗やマンションが建てられる地域
✅ 工場もOKな地域
など、全部で13種類の用途地域があり、土地の未来像を決める大切なルールです。
家を建てるなら、まず「その土地に住宅が建てられるかどうか」をチェックすることが大前提です。
建てられる地域例:
第一種・第二種低層住居専用地域
中高層住居専用地域
準住居地域
逆に、建てられない or 難しいエリアもあります:
❌ 市街化調整区域(原則建築不可)
❌ 工業専用地域(住宅NG)
❌ 農地(転用許可がないと建てられない)
「静かな住宅街だと思って買ったのに、数年後に隣にコンビニができて夜うるさい…」
「日当たりがよかったのに、大きなビルが建って真っ暗になった…」
これは用途地域を見落としたことによる典型的な失敗例です。
とくに「商業地域」や「準工業地域」に建つマンションは、将来的に周辺が大きく変わる可能性があります。
用途地域がマンションに与えるリスクには、次のようなものがあります。
→ 隣に高層マンションや商業施設が建って騒音・日照・視線の問題が発生。
→ ファミリー層に敬遠され、将来の売却が難しくなる場合も。
→ マンションの隣の土地は他人の所有物。住人が口を出せません。
土地を買う前に、以下をチェックしましょう:
✅ その土地の用途地域(市役所・不動産会社で確認可)
✅ 隣接地の用途地域も見る
✅ 将来的な都市計画の変更予定は?
✅ 開発計画や申請が出ていないか?
用途地域 | マンション建設のしやすさ | 特徴 |
---|---|---|
第一種低層住居専用地域 | × 極めて難しい | 高さ制限あり、一戸建て中心 |
第二種低層住居専用地域 | △ 難しい | 小規模店舗可、中高層は困難 |
田園住居地域 | △ 不向き | 景観保護が重視、建ぺい率低め |
市街化調整区域 | × 原則不可 | 新築住宅も基本建てられない |
用途地域 | マンション建設のしやすさ | 特徴 |
---|---|---|
第一種中高層住居専用地域 | ○ 建ちやすい | ファミリー向けマンションが多い |
第二種中高層住居専用地域 | ◎ 非常に建ちやすい | 小規模店舗やマンション両立可 |
近隣商業地域・準住居地域 | ◎ 建ちやすい | 高層ビルや商業施設もOK |
商業地域 | ◎◎ どんどん建つ | タワマン・大型施設も可能 |
「今の風景」だけで土地を判断するのは危険です。
5年後、10年後に周囲がどうなるか──
それを知るためのヒントが「用途地域」にあります。
特に、次のような方には用途地域の確認をおすすめします:
子育て環境を大切にしたい
落ち着いた住まいを望んでいる
資産価値を長く保ちたい
長崎材木店一級建築士並びに弊社不動産事業部「長崎材木店リアルエステート」では、お客様が検討している土地について、
用途地域の確認
建てられる建物の種類
周囲の環境や開発計画
などを無料で調査・ご説明いたします。
不安なまま土地を買う前に、ぜひ一度ご相談ください。
詳細な情報や具体的なアドバイスについては、弊社設計士までお尋ねください。
文責・監修:長崎秀人
福岡県の注文住宅専門の設計事務所「長崎材木店一級建築士事務所」代表。
業界歴35年、建築士・宅地建物取引士資格保有。
設計から施工、不動産取引まで一貫対応する体制で、信頼性の高い住まいづくりを支え続けている。