家を建てる際、多くの人が「心地よさ」や「暮らしの豊かさ」を求めます。しかし、いざ家づくりを進めると、目先の性能や仕様に意識が向きすぎてしまい、本当に大切な要素を見落としてしまうことがあります。その中でも、特に意識してほしいのが「中間領域」の存在です。
私たちは建築空間の中で「心地よい」と感じる瞬間があります。それは、単に高性能な断熱や気密があるからではなく、内と外の境界部分に工夫が施され、屋内と屋外がほどよく混じり合う「中間領域」があるからです。屋内と屋外を適度に行き来することで心身のバランスが取れるという考え方です。
例えば、人間は高気密・高断熱の重要性を理解しながらも、「窓が少なすぎる家では快適ではない」と感じ。理想型は朝日を浴びて目覚め、夏には窓を開けて自然の風を感じる住まいです。性能だけでなく居心地の良さが住まいに求められます。
この話からも分かるように、住宅性能を追求しすぎると、たった1℃の温度変化や1%の湿度の違いに過敏になり、快適さの本質を見失うことがあります。性能は大切ですが、それ以上に「心地よい空間」をつくることが家づくりにおいて重要なのです。
福岡は、夏は高温多湿で、冬は比較的温暖ながらも湿度の影響を受けやすい地域です。そのため、以下のような工夫を取り入れることで、より快適な住まいが実現できます。
最終的に、家づくりで最も大切なのは、住む人にとって「本当に心地よい空間」をつくることです。高気密・高断熱の性能を高めるだけでなく、内と外が程よく混じり合う「中間領域」を意識することで、より豊かで快適な暮らしが実現できます。
福岡の気候を考えた注文住宅の設計において、「我が家に中間領域を取り入れるとしたら?」という視点を持ち、自分たちにとって最適な空間設計を考えてみてください。それが、住まいに深みを与え、真に豊かな暮らしへとつながるのです。
福岡は年間を通じて温暖で湿度が高く、特に夏は高温多湿となります。また梅雨や台風の影響で降水量も多いため、屋外と屋内の中間に位置する「中間領域」(軒下、縁側、土間など)の存在が快適な住環境づくりに大きく貢献します。
主な効果は以下の通りです:
日射遮蔽:夏の強い日差しを和らげ、室内の温度上昇を抑える。
通風確保:風の通り道を作り、自然な換気を促進する。
雨天時の利便性:洗濯物干しや子どもの遊び場として活用できる半屋外スペースを確保。
「中間領域」を効果的に活かすには、以下の点が重要です:
軒の出の設計:深い軒で夏の直射日光を遮りつつ、冬の陽光は室内に取り込む。
素材選び:無垢の木材など、自然素材を使って外部とのつながりや温かみを演出。
空間の連続性:室内と中間領域、そして庭などの屋外空間を緩やかにつなげる設計が望ましい。
中間領域は暮らしに合わせて多彩な使い方が可能です:
縁側やウッドデッキ:団らんや読書、趣味のスペースとして。
土間:ガーデニング用具の収納や、自転車置き場に。
屋根付きテラス:雨天時の洗濯物干し場や、子どもの遊び場として。
こうした柔軟な活用が、住まいの豊かさを広げてくれます。
設計時には以下の点にも配慮が必要です:
建築基準法への適合:増築や庇の扱いによっては法規上の制限があるため注意が必要です。
メンテナンス性:雨風にさらされるため、耐久性や清掃のしやすさを考慮した素材選びが重要。
プライバシー:外部からの視線を遮る植栽やルーバーなどの工夫が快適性に繋がります。
詳細なご相談は、長崎材木店の設計士までお気軽にどうぞ。
文責 監修者 長崎秀人
「注文住宅」に関連する記事
福岡注文住宅の流れ
工務店やハウスメーカーと注文住宅を建てるための土地購入ガイド
注文住宅を建てるなら。工務店やハウスメーカーの選び方と住宅ローンのコツ
住宅購入に必要な諸経費とは?
注文住宅を購入する際の諸経費と登記手続き
注文住宅購入時にかかる諸経費と注意点