近年、住宅業界では高性能な家づくりをPRする企業が増えています。現代でほとんどの会社が高性能住宅を提供するようになっています。その背景には、UA値やQ値といった数値を用いた性能競争があるからです。「当社のUA値は○○ですから、だから絶対にうちの家が良い」といった主張が一般的になりつつあります。
しかし、住宅の性能を数値だけで評価するのは正しいのでしょうか?本稿では、UA値やQ値についての正しい理解と、それらの指標に過度に依存することのリスクについて解説します。
これらの動向自体は非常に良いことですが、UA値やQ値に過度に依存する傾向も見られるようになりました。ここで重要なのは、「性能は確かに大切だが、それだけが全てではない」という視点を持つことです。
**UA値(外皮平均熱貫流率)**は、建物の外皮(外部に接する部分)から失われる熱量を外皮の面積で割った数値です。簡単に言えば、建物の断熱性能を示す指標です。
**Q値(熱損失係数)**は、外皮の総熱損失量に加え、「換気による熱損失」を考慮した指標であり、延べ床面積で割って計算されます。つまり、Q値の方が換気による影響も含まれている点が異なります。
これらの数値が小さいほど性能が高いことを意味しますが、「UA値が低い=暖かい家」と単純に考えるのは誤解です。
例えば、UA値0.4の住宅が2軒あったとします。
UA値は同じでも、1軒目は自然な暖かさを得られるのに対し、2軒目は暖房を使わなければ寒い家になります。住宅の快適性は設計や住まい方によって大きく異なるため、数値だけを基準に判断するのは危険です。
また、光熱費もUA値やQ値だけでは決まりません。同じQ値1.46の家でも、32坪の家と100坪の家では熱損失量が異なります。つまり、住宅の大きさや設計によって、実際のエネルギー消費量は大きく変わるのです。
家の快適性はUA値やQ値だけで決まるわけではありません。実際には「温熱の6要素」と呼ばれる以下の要素が影響します。
これらの要素を考慮しなければ、快適な住宅を設計することはできません。
また床は人が直接触れる部分であり、その素材によって体感温度が大きく変わります。
UA値が低くても、床の材質によって住み心地は大きく異なるため、こうした視点も重要です。
UA値やQ値は住宅の性能を示す重要な指標ですが、それだけを基準に判断すると誤解を招く可能性があります。住宅の快適性は、設計の工夫や住まい方、温熱の6要素など、さまざまな要因が関係しています。
「UA値が低い=良い家」と単純に判断するのではなく、総合的な視点を持って家づくりを考えましょう。冷静に本当に自分たちに合った住宅を選び、後悔のない家づくりを進めることが大切です。
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)について詳しく説明します。
ZEHは、断熱性能の向上、省エネルギー設備の導入、および再生可能エネルギーの活用を通じて、住宅の年間一次エネルギー消費量をほぼゼロにすることを目指した住宅です123。
ZEH: 基準一次エネルギー消費量を100%削減します2。
ZEH+: ZEHに加え、エネルギー生産・貯蔵・共有を積極的に取り入れた形態です1。
Nearly ZEH: 基準一次エネルギー消費量を75%以上100%未満削減します2。
日本政府は、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指しており、補助金制度などを通じて普及を促進しています23。
・UA値(外皮平均熱貫流率)は、住宅の壁や屋根、窓など「外皮」から逃げる熱量を外皮面積で割った数値です。
・この数値が低いほど、断熱性能が高いことを示します。
・Q値(熱損失係数)は、外皮からの熱損失に加え、「換気による熱損失」も含めた数値です。
・延べ床面積で割って計算され、Q値が小さいほどエネルギー効率が良い住宅とされます。
・UA値は「外皮からの熱の逃げやすさ」のみを評価する指標
・Q値は「外皮+換気による熱損失」まで含めた総合的な指標
・どちらも数値が低い方が断熱性能は高いとされますが、用途や対象が異なります
・必ずしもそうとは限りません
・設計、日射取得、間取り、素材などの要素も大きく影響します
・UA値だけで家の快適性を判断するのは危険です
・温熱の6要素(気温、湿度、気流、放射温度、着衣量、活動量)
・床の素材(タイル vs 無垢材)
・住宅の広さ、方位、開口部の配置
・暮らし方(暖房の使い方、居住スタイル)
・設計の工夫(日射取得や通風設計)
・素材の違い(床・壁・窓の質感)
・暖房設備や空調の配置
・住まい手の暮らし方や感じ方の違い
・断熱性能を高め、省エネ設備を整え、太陽光発電などでエネルギーを自給する住宅です
・年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロにすることを目指しています
・光熱費を大幅に削減できる
・環境負荷を抑え、サステナブルな暮らしを実現できる
・高断熱・高気密な住環境によって快適性が向上する
・初期費用が高額(太陽光や高性能断熱材などの導入)
・蓄電池や制御技術の進化が今後の課題
・設計・施工に高度な知識と技術が必要
・ZEH:一次エネルギー消費量を100%削減
・ZEH+:ZEHに加え、創エネ・蓄電などの先進的設備を導入
・Nearly ZEH:削減率が75%以上〜100%未満の住宅
・国が2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指しています
・補助金制度や政策支援により、今後さらに普及が進む見込みです
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