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【設計士の本音】「余白」が生み出す、家と暮らしの“深み”とは

【設計士の本音】「余白」が生み出す、家と暮らしの“深み”とは

──福岡で注文住宅を建てる方へ贈る、設計の美学と実践

こんにちは。福岡東スタジオの設計士・西田です。

突然ですが、みなさんは「余白」について考えたことはありますか?

最近ではSNSでも“余白のある暮らし”という言葉を見かけるようになりました。
真っ白な壁、少ない家具、飾りすぎない空間。
けれどそれは、単なるミニマリズムやシンプル志向とは少し違う気がしています。

それは、**「心を整える設計」**なのです。


■ 子どもの頃に教わった「余白の意味」

私は幼少期に書道を習っていました。
先生から何度もこう言われました。

「字の迫力はある。でも、“余白”が意識されていない。」

一枚の紙にただ上手に文字を書くだけでは、美しくない。
どこにどう書くか。どれだけ“余白”を残すかで、全体の印象が変わる。
その言葉は、大人になって住宅設計の仕事に携わる中で、再び深く響いてきました。


■ 家づくりにおける「余白」とは何か?

住宅の“余白”とは、物理的な空きスペースだけを指すのではありません。

  • 家具を置かない「壁一面の白」

  • あえて何も置かない「棚の一角」

  • 明るすぎず、暗すぎない「光の濃淡」

  • ピタリと収まりすぎない「隙のある間取り」

それらすべてが、**人の感性や気分に寄り添う“余地”**をつくっているのです。

詰め込んでしまえば、心は置き場所を失う。
情報も、色も、モノも、溢れすぎれば暮らしに“雑音”を与えてしまう。

だからこそ、「余白」は空間の中に静けさと緊張感、自由と余裕を生み出してくれるのです。


■ 実例で見る「余白の設計」

1. 階段横の白い壁──影をデザインする

階段の両サイドに白壁を残し、装飾は黒のアイアン手すりと小さな壁掛け時計だけ。

一見“何もない”空間ですが、
そこに窓から差し込む光と影が時間ごとの変化をもたらします。
そこへ季節の枝物やアートを足すのもよし。引くのもまたよし。
“変化を受け入れる美しさ”が生まれる余白です。


2. 白い壁と木のカウンター──暮らしの背景としての余白

無垢の木のカウンター、同色の窓枠、椅子。
正面は潔く、何もない白壁。

そこに、マスキングテープで写真やポストカードを貼る。
あるいはピンで布を留めて、小さなギャラリーにする。
飾る側の“遊び心”を受け入れてくれるのが、この白の余白です。

**余白とは「完成していない余地」であり、「暮らしに開かれた余白」**でもあります。


3. モルタル壁と足場板──見せる収納のバランス

モルタルの壁に足場板を固定し、そこへ食器や雑貨を並べる。
その横には、目を引く装飾タイル。

けれど本当に主役なのは、装飾ではなく**「背景としてのモルタル壁」**。
物が多くても、ごちゃつかずに整って見えるのは、
“見せるところ”と“抜くところ”を意識した余白の設計があるからです。


■ なぜ「余白のある家」が心地よく感じられるのか?

住宅における“余白”は、心に静けさを与えるだけでなく、

  • 時間の経過を許容する空間

  • 住まい手が自分の感性で変えられる自由

  • 家族の成長や変化に応じて変化できる柔軟性

といった、“暮らしの未来”に開かれた構造でもあります。

「飽きのこない家」ではなく、「育てられる家」。

余白のある家は、年月とともに住まい手とともに成長し、
人生に深みを与えてくれる「器」になるのです。


■ まとめ|余白は、“未完成の美学”であり、暮らしの余韻

  • 家づくりにおいて余白とは、空間の中に“余地”を残すこと

  • 詰め込みではなく「引き算」で整えることで、空間の美が際立つ

  • 余白があるからこそ、暮らしに“物語”が宿る

  • デザインとは完成ではなく、“住まい手によって育てられる余地”でもある

余白は、建築家や設計士だけが生むものではありません。
住まい手が手を加え、感性を添え、時間を重ねていく中でこそ、
“本当の余白”は意味を持ちます。

──家は、暮らしの器。
「足す」のではなく、「引きながら整える」。
そんな家づくりを、これからも提案していきたいと思っています。


よくあるご質問(FAQ)

Q:余白があると、家具が少なくなり不便になりませんか?
A:機能性と余白は矛盾しません。必要な収納はしっかり確保した上で「見せない」「抜く」部分を設けることで、使いやすさと美しさを両立できます。

Q:余白を大事にした家づくりはコストが高くなりますか?
A:逆に、装飾や過剰な造作が減るためコスト調整しやすくなります。自然素材や照明など、“引き立てる要素”を絞ることが肝心です。

Q:将来的に家具や雑貨を増やす予定です。余白はもったいなくないですか?
A:いいえ、それこそが“余白の設計の意義”です。将来の変化に備えて「空けておく」「受け入れる」ことで、長く楽しめる家になります。

Q:「余白のある家」が向いている人はどんな人ですか?
A:「暮らしに静けさを求める人」「インテリアに自分の世界観を加えたい人」「家族の変化に柔軟に対応したい人」に特におすすめです。

 

私たち長崎材木店一級建築士事務所は、“より美しく、すみ継ぐ”という思想のもと、福岡で自然素材の注文住宅を、設計から施工まで一貫して手がけています。ただ家を建てるのではなく、暮らしをかたちにすることを何より大切にしています。「福岡で家を建てるなら、長崎材木店 一級建築士事務所」──そう言っていただけるように。

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